ECのマーケティングと一般的なマーケティングは違います。一般的マーケティングは商品開発や値付け、販路開拓、プロモーションを行いますが、ECマーケティングはECサイトへの集客、接客、サービスなどをメインに行うため、マーケティングより幅は狭くなりますが行うことは深くなります。
なので一般的なマーケティングが得意な人にECマーケティングをお願いすると、失敗してしまうことが多いです。
この記事ではECマーケティングとマーケティングの違いから、ECマーケティングを成功させるにはどうすればいいのか?そんな疑問に答えます。
マーケティングとは?
まずは一般的なマーケティングについて説明すると、日本マーケティング協会はこのようにマーケティングを定義しています。
マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。
出典:日本マーケティング協会の概要 より
この表現だと理解しづらいと思いますので、もっとシンプルにわかりやすく言うと、「適切な商品を、適切な場所に、適切な価格で、適切なタイミングで提供する。」ということです。
これは売り手目線で考えるマーケティングの4Pだったり、消費者目線で考えられているマーケティングの4Cと同じ意味で、「①商品、②売る場所、③値段、④プロモーション」この4つを最大化することで、消費者に商品やサービスを買ってもらう。これが一般的なマーケティングです。
ECマーケティングとは?
それではECマーケティングについて説明をします。
ECマーケティングとはシンプルで、「ECサイトの売上アップ」です。
もしECサイトで販売することを商品を見せるためだけに運営していたり、オウンドメディアの1つとして運営しているということであれば、これはECマーケティングではなく「マーケティング」です。
上記で例えたマーケティングの4Pやマーケティングの4Cに該当する、「①商品、②売る場所、③値段、④プロモーション」に当てはめると、
①商品=あるものを売る(決まっている)
②売る場所=自社で構築したECサイト(決まっている)
③値段=定価販売(決まっている)
④プロモーション=なんでもOK(決まってない)
ECマーケティングはその前段階でのマーケティングにより決まっていることが多いので、実はECマーケティングは④プロモーションがメインの手法になります。
プロモーションがメインとなるECマーケティングですが、ただECサイトへの集客をしても、ECサイトの「接客」の部分がしっかりしていなければ、せっかく来てもらったお客様が買わずに帰ってしまいます。
つまりECマーケティングとは、ECサイトに集客する「プロモーション」と、集客したお客様に購入してもらう「接客」をどれだけ高められるのか?ECマーケティングの基本はこの2つのことです。
ECマーケティングの基本「集客と接客」
上記で説明したとおり、ECマーケティングの基本は「集客」と「接客」です。それはおなじみのECサイトの売上方程式である、
①集客と②購入率を増やすことが、ECサイトの売上アップになります。
それではこの「集客」と「購入率」に関して、どのような方法があるのかを説明します。
ECマーケティングその①:集客方法
ECサイトの基本的な集客方法は2つありまして、「SEO対策」と「リスティング広告」です。
SEO対策
SEO対策は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンからキーワードを入れて検索した際に、このECサイトを上位表示させてクリックをしてもらい、ECサイトに集客する方法です。
今はSEO対策といってもテキストコンテンツが上位表示されやすくなったという時代ですので、ECサイトの商品ページが上位表示される可能性は少なくなりました。
なのでECサイトに関しては、ECサイトに関連するテキストコンテンツ(お役立ち情報)をECサイト内に掲載する「コンテンツマーケティング」という手法が効果的です。詳しくはこちら。
⇒コンテンツマーケティングで自社サイトをメディア化する方法とは?
リスティング広告
リスティング広告はGoogleやYahoo!で検索したときに、検索したキーワードに対して広告を表示する広告のことで、「検索連動型広告」とも言われています。
⇒リスティング広告とは?いまさら聞けないインターネット集客の基本
リスティング広告については費用が発生するのですが、顕在的なキーワードで出稿することで顕在層向けのユーザーにアプローチをすることができ、即効性が高く、比較的すぐ購入につながる広告です。
⇒潜在層と顕在層とは?これを理解してマーケティングに活かそう
ECマーケティングその②:購入率を増やす方法
ECサイトの購入率を増やす方法とは、Web接客力を高めることです。
Web接客力を高めるということは、集客したお客様の利便性を高めるということで、ここでは2つ紹介します。
そもそも平均購入率はどれくらい?
そもそも有名・大手ECサイトの購入率はどれくらいなの?とよく聞かれるのですが、結論からいうと「0.8%~1.8%」です。
もちろんECサイトの商材によって購入率は違うので、単品・リピート系通販はもっと購入率が高いですが、総合ECサイトだとこれくらいの数値になります。
詳しくはこちらの【公開】有名・大手ECサイトの購入率、平均と目安をご紹介!の記事で紹介をしています。それでは購入率を上げるための接客・サービス方法をいくつかご紹介します。
サイトの表示速度を早くする
Googleは2018年7月から表示速度が遅いサイトは、検索結果においてもペナルティ対象とする「スピードアップデート」を実施しています。
⇒【SEO】検索エンジン最適化はモバイル対応とページスピード対策!
なぜ表示速度が遅いと検索順位を下げるかというと、訪問したユーザーに対して快適にサイトを見てもらいたいからです。
なので表示速度が遅いとGoogleから検索順位のペナルティを受けるだけでなく、ユーザーに対してもストレスを与え、快適なお買い物ができなくなってしまいます。
表示速度が3秒以上かかると40%のユーザーが離脱するというデータも発表されており、表示速度が1秒遅くなるごとに、PV(ページビュー)が11%下がる、コンバージョン(購入率)が7%下がる、顧客満足度が16%下がると言われています。
⇒表示速度が遅いとECサイトではどれくらい売上が下がるのか?
検索機能を強化する
せっかくECサイトに訪問してくれたのに、商品数が多すぎて、欲しいものや目的の商品が探せないという経験はありませんか?
なかなか商品が見つからない不便なECサイトでは離脱につながりますし、もう買いたくないと思ってしまいます。それくらいECサイトの検索機能は大事です。
みなさんご存知のアマゾンに関しては、膨大な商品数から目的の商品を探し出す「サイト内検索機能」に一番力を入れているくらいです。
ECシステムに標準装備されている検索エンジンは、正直いって性能が悪いです。外部の検索エンジンベンダーが高機能なサービスを提供しているので、もし標準装備されているサイト内検索エンジンが使えない場合は、以下の検索エンジンを参考にしてみてください。
決済方法を増やす
せっかく買いたい商品が見つかったのに、クレジットカードが使えない・・・。こんなECサイトでは買いたくないですよね?
なのでECサイトの決済方法は多いに越したことはありません。最低でも「クレジットカード決済」、「商品代引決済」、「コンビニ決済」は導入しておきましょう。
売れているECサイトランキング上位の平均的な決済方法の数は、約4種類です。上記で説明した3つの決済方法は必須ですが、もしあと1つ導入するならばこの記事をご覧ください。
関連商品をおすすめする
ECサイトで関連商品をおすすめすることは、新しい商品との出会いになる可能性も高く、購入率をアップできる方法の1つになります。これがレコメンドエンジンです。
レコメンドエンジンとは楽天やアマゾンではおなじみの「これを見ている人はこの商品も見ています」という関連商品をおすすめする機能のことです。
レコメンドエンジンは、ユーザーの訪問者属性や行動履歴、サイト内導線、やアイテム属性の情報を収集し、購入する可能性が高い商品を提案してくれるので、購入率アップにつながりやすい接客機能になります。
⇒レコメンドエンジンとは?ツールができること、選定ポイントを紹介
ECマーケティングまとめ
いかがでしたか?ECマーケティングをまとめると、ECマーケティングはマーケティングと違い、「ECサイトの売上アップ」を達成することで、ECマーケティングの基本は「集客」と「接客」を高めることです。
ECマーケティングのポイントはこの方程式に基づいて①集客、②購入率を増やすことで、ECサイトの売上アップを達成することができます。
とはいえECマーケティングは正解がありません。ECサイトで扱う商材によっても全然やり方が変わってきますし、ユーザーの変化もあります。ですからぜひこの記事を参考に、自社流のECマーケティングを構築していってもらえると嬉しいです!