単品通販とはどのようなECサイトのことでしょうか?
健康食品やサプリ、美容・コスメ系の商材など、メーカーが直接消費者に販売するDtoCというビジネスモデルも主流になり、「単品通販モデル」のECサイトを展開する企業が増えてきています。
国内のBtoC-EC市場は20兆円を超え、多くの企業が自社ECサイトを展開しています。
といってもこの市場を牽引しているのはアマゾンと楽天であり、自社ECで戦っていくのは難しいのですが、単品通販というECモデルであればアマゾンや楽天と戦わずに、売上を上げることも可能です。
この記事では、「単品通販」のECサイトを運営していきたいという方向けに、「単品通販」とは?という基本的なところから、
- 単品通販とは?
- 総合通販サイトとの違い
- 有名な単品通販サイト
- 単品通販売上ランキング
- 単品通販サイトの構築方法
このようなことをご紹介します。
単品通販とは?
単品通販とは、主に1種類の商品をメインに、ECサイトで販売していくビジネスモデルです。
1種類の商品をメインで販売していくので、他社のECモールで自社のオリジナル商品を販売していくことが多く、他のECサイトでは扱っていない商品を販売していきます。
他のサイトでは販売をしていないので、商品の認知度を高め、サイトに集客するマーケティング手法と、いかにリピート(再購入)率を高めるかが成功のポイントのため、「単品・リピート通販」とも呼ばれています。
リピート通販と言われる理由の一つとして「定期購入」のサービスを行っている事業者が多いです。
なぜならリピート率を高めるためには決まった期間で商品をお届けする「定期購入」をしてもらうことで、継続的な売上が見込めるからです。
単品通販と総合通販サイトとの違い
ECサイトのビジネスモデルとして、「単品通販」と「総合通販」と呼ばれる2つの種類があります。
たとえば大手企業が運営しているECサイトは、「総合通販」と呼ばれるビジネスモデルが多いです。
国内で最も売れているECサイトは「アマゾン」ですが、アマゾンや楽天なんかも「総合通販」モデルのECサイトです。
同じECサイトでも両者特性が異なるので、この違いを理解しておくことが重要です。
特徴 | 単品通販 | 総合通販 |
商品数 | 1点もしくは少数 | 多いほうが良い |
商品ジャンル | 消耗品 | 複数のジャンル |
商品の仕入れ | 自社開発や特定の仕入先 | 多数の会社からの仕入れ |
主な集客方法 | ネット広告、メルマガ |
検索、総合的な広告
|
ターゲットの年齢層 | 狭い | 広い |
総合通販は幅広いユーザーにアプローチしECサイトに集客を行い、多くの商品から購入したい商品を選んでもらうという流れがメインでした。
単品通販は商品数が少ないため、特定のターゲットユーザーを広告で呼び込み、この商品を買いますか?買いませんか?と決断を迫るようなECサイトのことです。
販売している商品が1種類もしくは少数のため、幅広いユーザーにアプローチをすることは少なく、自社の商品が必要であると思われるユーザーを絞り、無駄な費用をかけずにダイレクトマーケティングを行っていくようなビジネスモデルです。
単品通販の商材はリピート性が高い
単品通販の主な商品ジャンルは消耗品です。
消耗品といっても大きく分けると
- 化粧品
- 健康食品
この2種類に分類されます。
なぜ単品通販に消耗品が選ばれているか?というと、「化粧品」や「健康食品」は使い続けないと効果が出ないものであり、なおかつ消耗するため、商品さえ気に入ってもらえればずっと使いたいというユーザーが多いです。
なので継続的な購入を見込むことができます。
単品通販サイトの国内事例
国内企業の有名な単品通販サイトの事例をご紹介します。
国内企業が運営している【単品通販サイト】は数多くありますが、やはり売上が高いECサイトの商材は消耗品である「化粧品・健康食品」を扱っています。
サントリーウェルネス
サイト名:「サントリーウエルネスオンライン」
通販売上高(全体):818億円
サントリーウエルネス社が運営する化粧品・健康食品を扱っている単品通販モデルのECサイトです。サントリーが製造している「セサミン」が主力商品ですが、同社のさまざまな商品を扱っています。
ディーエイチシー
サイト名:「DHC公式オンラインショップ」
通販売上高(全体):493億円
DHCが自社商品の化粧品や健康食品、ファッションやインナーウェアまで扱っている、単品通販ポータルサイトです。主力商品はCMでもおなじみのサプリメントで、リピート性が高い商品が販売されています。
ファンケル
サイト名:「ファンケルオンライン」
通販売上高(全体):407億円
無添加化粧品、健康食品・サプリメントを販売しているポータル単品通販サイトです。サプリメントも主力商品ではありますが、化粧品の売上比率も高いです。
やずや
サイト名:「やずや公式健康食品通販サイト」
通販売上高(全体):185億円
昔はテレビCMもよくやっていた、香醋、黒酢、にんにく卵黄などの健康食品を扱っている、やずやの単品通販サイトです。産地や原材料にこだわったサプリメントを販売しています。
山田養蜂場
サイト名:「山田養蜂場公式通販サイト」
通販売上高(全体):180億円
ローヤルゼリーなどのはちみつ、プロポリスなどの健康食品と、自然派化粧品を販売している単品通販サイトです。ギフト用の機能も充実しており、自分用以外にも買いやすい機能を有しています。
単品通販・ECサイト 国内売上ランキング
上記でご紹介したベスト5以降のランキングを20位までご紹介します。
順位 | 会社名 | 売上高 | 増減率 (%) |
健食売上構成比(%) | 本社 | 主力商品・素材 |
1 | サントリーウエルネス | ※818億円 | 5 | – | 東京 | セサミン |
2 | ディーエイチシー | 493億円 | 3 | 45.6 | 東京 | 総合 |
3 | ファンケル | 407億円 | 9.4 | 36 | 神奈川 | 総合 |
4 | やずや | ※185億円 | – | – | 福岡 | 香醋 |
5 | 山田養蜂場 | ※180億円 | – | – | 岡山 | ローヤルゼリー |
6 | えがお | ※170億円 | – | 100 | 熊本 | 黒酢 |
7 | わかさ生活 | ※160億円 | – | – | 京都 | ブルーベリー |
8 | キューサイ | ※135億円 | – | – | 福岡 | 青汁 |
9 | 世田谷自然食品 | ※120億円 | – | – | 東京 | 総合 |
10 | アサヒ緑健 | 119億円 | – | – | 福岡 | 青汁 |
11 | エバーライフ | ※112億円 | 5 | – | 東京 | ヒアルロン酸 |
12 | カゴメ | 110億円 | – | – | 東京 | リコピン |
13 | 金氏高麗人参 | 104億円 | – | 99 | 京都 | 高麗人参 |
14 | テレビショッピング研究所 | ※100億円 | – | – | 東京 | 青汁 |
15 | ライオン | ※100億円 | – | – | 東京 | ラクトフェリン |
16 | 大正製薬ホールディングス | 90億円 | – | – | 東京 | グルコサミン |
17 | メディアハーツ | ※90億円 | – | – | 東京 | 青汁 |
18 | Rakuten Direct | ※90億円 | – | – | 東京 | 総合 |
19 | 健康家族 | ※89億円 | – | – | 鹿児島 | にんにく卵黄 |
20 | 万田発酵 | 88億円 | – | – | 広島 | 植物発酵食品 |
ほとんどのサイトが自社でしか扱っていない消耗品である、化粧品や健康食品をメインに扱っているECサイトで、ブランド数は多いですが単品通販モデルのECサイトです。
20位以降の売上ランキングは、「健康食品ECサイト・ネット通販売上高ランキングTOP88を発表!」でご紹介しています。
関連記事:【2020年最新】化粧品ECサイト・ネット通販売上高ランキングTOP80を発表!
単品通販を成功させるマーケティングとは
上記で紹介した単品通販サイトは、商品力があるということは当たり前ですが、ECサイトのマーケティングに長けています。
一般的なECサイトのマーケティングとは、
- 【集客】ECサイトに多くの見込み客を集める
- 【接客】サイト内で商品紹介をする
- 【追客・CRM】購入したお客様に再購入を促す
このようなマーケティングが主流ですが、単品通販のマーケティングは少し特殊です。
一般的なECマーケティングについては「ECマーケティングとは?マーケティングとの違いを知り成功させよう」でご紹介しています。
それでは単品通販の少し特殊なマーケティングのポイントをご紹介します。
単品通販を成功させる5つのポイント
単品通販サイトの売上アップを行うには、総合通販とは違った視点でマーケティングを行う必要があります。
それでは単品通販サイトにおけるマーケティング成功のポイントを5つ紹介します。
ランディングページを作り込む
単品通販サイトの成功ポイントは、商品紹介をする「ランディングページ(LP)」を制作しましょう。
単品通販サイトにおけるランディングページ(LP)とは、キャッチコピーにはじまり商品紹介やおすすめポイント、商品を使用した際の効果やお客様のレビューなど、商品を購入する理由、購入フォームまでをすべて詰め込んだ長いページのことです。
総合通販サイトはトップページがランディングページとなることが多いですが、その分商品を探したりするのに時間がかかります。
ですが単品通販サイトに関しては商品にめがけて集客をしていくので、商品専用のランディングページ(LP)を制作し、そこに集客することで購入率を高める施策を行いましょう。
ランディングページ(LP)に関しては「ECサイトのLP(ランディングページ)とは?売上アップの基本を5分で説明する」で解説しています。
集客は広告がメイン
単品通販サイトは「広告」をメインに集客していきましょう。
上記で作ったランディングページは自然検索で上位表示することが難しいです。なぜなら画像が多いためテキスト情報が少なく、自然検索からの集客が見込めないのです。
メインで使用するのは「リスティング広告」ですが、リスティングをはじめネット広告は、年齢や性別、地域をターゲティングして配信をすることが可能なため、広告の費用対効果が高いです。
リスティング広告に関しては「リスティング広告とは?いまさら聞けないインターネット集客の基本」をご覧ください。
定期購入に促す
単品通販サイトの売上アップのポイントはどれだけ「定期購入」ユーザーを増やすことができるか?です。
商品を買ったこともない、使ったこともないユーザーがいきなり「定期購入」をしてくれる可能性は非常に少ないので、「定期購入」につなげるプロセスを組むことが重要ですが、そもそも定期購入の機能を有しているカートシステムでなければ実現できません。
後ほど定期購入が得意なショッピングカートシステムはご紹介しますが、基本的には「定期購入」のユーザーをどれだけ増やせるかが売上アップのポイントということを覚えておいてください。
関連記事:ECサイトで定期購入を実施したい!ECカート比較ランキングTOP5
お試しセットで初回購入のハードルを下げる
定期購入を増やすためには「お試し商品」を販売し、初回購入のハードルを下げることが重要です。
- 商品が気に入っている
- 商品を毎月購入するのが面倒
- 少しでも安く買いたい
ちなみに定期購入をするユーザーの理由として上記の3つの要素があります。この要素をクリアすることで、定期購入のユーザーが増えていくのです。
まずは「①商品が気に入っている」が重要なのですが、使ったこともない商品を購入するのは勇気がいるもので、ユーザーは損をしたくないという心理が働きます。初回購入でいきなり損をしないように、低価格の「お試し商品」を販売し、
とユーザーに思ってもらい、初回購入のハードルをぐっと下げましょう。
2回目の購入(F2転換)に全力を尽くす
初回購入をしてくれるユーザーに対しては、2回目の購入(F2転換)を全力を尽くしましょう。
関連記事:リピート率の計算方法とは?ECで目指すべき平均リピート率をご紹介
商品がダメだと思ってしまった場合は難しいですが、ユーザーに対してステップメールを配信し、2回目の購入を促します。
ステップメールとは、ユーザーの行動をきっかけに、効果的なタイミングで複数回のメールを配信し、商品の再購入をしてもらったり、単価の高い商品の購入を促すことです。
初回購入から2回目の購入を促す場合は、商品到着してから3回配信しましょう。詳しくは「ステップメールとは?ECサイトで売上アップするシナリオと作り方」で解説しています。
単品通販サイト構築のおすすめカートシステム
最後に、単品通販に適しているECカートシステムをご紹介します。単品通販を成功させるには、カートシステムの選定が非常に重要です。
- 購入フォーム一体型のLPが製作可能
- 定期購入機能がある
- ステップメールの配信が可能
- 分析機能が豊富
単品通販を成功させる機能としては、上記のような機能が必須になるので、単品通販に特化したECカートシステムを選定していきましょう。
ASPカートシステム
まずはスモールスタートで単品通販サイトを構築したいという場合は、月に数万円で使える単品・リピート通販専用ASPカートシステムを使ってサイトを構築しましょう。
上記でご紹介している単品リピート通販専用のASPカートであれば、初期費用10万円以下、月額費用は7万円程度で単品通販サイトを運営することができます。
関連記事:ASPカートシステムでECサイト構築、7つのメリットをご紹介
クラウドECシステム、ECパッケージ
大手企業が運営しているような大規模単品通販サイトを構築したい場合は、独自のカスタマイズが可能なクラウドEC、もしくはECパッケージを選びましょう。
逆に単品通販に特化しているECパッケージというのはないので、作り込んでいく形にはなりますが、おすすめのECパッケージはこちらでご紹介しています。
関連記事:ECパッケージでECサイト構築、7つのメリットをご紹介
大手に負けない単品通販、EC運営をしよう!
ここまでご覧いただきありがとうございます。
単品通販とは、1種類の商品をメインに販売していくECサイトのビジネスモデルです。
1種類の商品をメインで販売していくので、自社のオリジナル商品を販売していくことが多く、他のECサイトでは扱っていない商品を販売していきます。
単品通販の売上アップのポイントは、どれだけ「定期購入」のユーザーを増やしていけるかがポイントです。定期購入を促すには商品専用の「ランディングページを制作」し、「広告」で集客、お試し商品で初回購入のハードルを下げて、ステップメールで2回目の購入(F2転換)していくことが重要です。
国内の有名・大手企業でも単品通販モデルのECサイトを行うケースも多く、競合が多い状況ではありますが、他では売っていない商品を独自のマーケテティングで行うことで、売上アップを目指していくことは十分に可能です。
ぜひ大手に負けない単品通販サイトを構築、運営して、売上アップを狙っていきましょう!
ここまでご覧いただきありがとうございます。
もしすでに運営をしていて売上アップに課題をお持ちの場合は「【売上アップ】簡単にECサイトの売上を上げる21の方法」もご覧ください。
もしECサイト構築のシステム会社に迷ったら・・・
星の数ほどあるシステム構築会社を探し、最適なベンダーに依頼をするのは非常に難しいです。
ECプラットフォームを提供している会社(メーカー)が構築してくれる場合もありますが、
- プラットフォームベンダー(メーカー)
- インプリメントベンダー(実装する会社)
が別の場合もありますし、知識がないと難しいです。
- 自社の課題を解決してくれる
- 探す時間が取れない、探し方がわからない
- 費用の相場がわからない
- IT専門知識が少ない
もしこのような課題があったら、ECシステム構築会社に無料で一括見積ができる「発注ナビ」で問い合わせをしてみましょう。
会社でECサイト構築のプロジェクトに失敗してしまうと大変なことになってしまうのですが、ITコンサルタントが要件をヒアリングしてくれるので、最短1日で最適なECシステムの構築ベンダーが見つかります。
問い合わせは無料なので、EC・IT知識のない方はぜひこのようなサービスを利用してください。