今年はユナイテッドアローズやアダストリアをはじめ、上場企業のECサイトのリニューアルが失敗し、サイトが数ヶ月停止になったりと話題になっています。
今や消費者向けEC市場も18兆円にのぼる勢いということもあり、ECサイトという販売チャネルは企業にとって無くてはならないものになっています。
そんなECシステムのリニューアル(リプレイス)は、多額の費用がかかり、EC部門だけでなく社内外の多くの人材リソースを注ぐ必要があり、失敗してしまうと企業として多大な損出になります。
この記事では、ECサイトのシステムリニューアルにおいて失敗しない方法や、リニューアルを成功に導く10つのポイントを解説します。
ファッション企業が失敗するケースが多発
最近ではユナイテッドアローズやアダストリアのECリニューアルが失敗し、数ヶ月間利用停止になってしまいました。
私の所感としても、ファッション・アパレル企業のECサイトリニューアルが、失敗する傾向が高いと考えます。
「【2019年最新】ファッション・アパレルECサイト売上高ランキングTOP50を発表!」でも紹介しているように、両社はファッション企業のEC売上としても非常に高く、昨年アダストリアは405億円、ユナイテッドアローズは263億円と、売上高だけでなくEC化率も高い企業です。
このような企業が数ヶ月間ECサイトが停止してしまうと、会社としては非常に大きな損害です。
社内にデジタルやシステムを理解している人がいない
リニューアルが失敗した理由としては各社様々なのですが、社内でリニューアルプロジェクトが推進できて、デジタルやシステムに詳しい人がいないということでしょう。
特にアパレルメーカーなどは、自社で情報システム部門やエンジニアを抱えることがなく事業を行ってきたので、技術者を内製化せず、外部に委託してECサイトや基幹システムを構築保守してきました。
大規模リニューアルを成功させるには、
- リニューアルプロジェクトを推進できる責任者
- 社内外のシステム、デジタルを熟知している技術者
- 信頼できるSIerやシステムベンダー
このような人材がいなければ、失敗してしまう可能性が高いです。
ユナイテッドアローズはあの規模にも関わらず、オープンソースベースのパッケージベンダーを選定してしまっているのも、失敗の理由のひとつだと思います。
関連記事:EC-CUBE(オープンソース)でECサイト構築はアリなのか?
上記の事例は大規模ECサイトのリニューアルの話なので、もう少し現実的なところでECサイトのリニューアルを失敗しない、成功に導くポイントをご紹介します。
企業としてリニューアルの目的を決める
ECサイトのリニューアルの目的は各社様々ですが、ECサイトのリニューアルの基本として、
ECサイトのリニューアルを失敗しない10のポイント
それでは本題の、ECサイトのリニューアルを失敗しない10つのポイントを解説します。
先にネタバレしてしまうと、この10つです。まずはパートナー(ベンダー)選びとして以下の①~⑤のポイントがあり、⑥~⑩は社内の意識的なポイントを解説します。
- コンペは3社に絞る
- 構築実績を重視する
- 開発リソース・体制を確認する
- セキュリティ基準を満たしているか
- プロジェクトマネージャーとの相性を確認
- 経営層を巻き込んだプロジェクト体制をつくる
- RFP(提案依頼書)を必ずつくる
- ECベンダー選定の評価軸を明確にする
- スケジュールに余裕をもたせる
- 100%を目指さず70%を目指す
①コンペは3社に絞る
まずECベンダー選びとして、ECサイトをリニューアルしたいシステム会社(ベンダー)を選ぶことになります。
失敗する企業は、多くのシステム会社にリニューアルの依頼するケースが散見されます。
コンペ先が多すぎると、システム会社に依頼する要件がブレてしまい、結果正しい公平なコンペができなくなってしまいます。
それによりシステム会社からの見積や要望がバラバラになってしまい、結果良いベンダー選定ができなくなってしまいます。
②構築実績を重視する
システム会社(ベンダー)のECサイト構築実績を重視しましょう。
ベンダーとしても様々で、Web制作会社や基幹システムベンダー、ECパッケージベンダーなど、ECサイトを構築できるベンダーは数多くあります。
ECサイトの構築実績が多いベンダーを選ぶようにし、そのなかでも自社オリジナルのECパッケージを持っているベンダーが最適です。
ちなみにECパッケージに関しては「ECパッケージでECサイト構築、7つのメリットをご紹介」で詳しく説明しています。
そんなパッケージベンダーのなかでも、オムニチャネルが得意なベンダーや、販売管理一体型のシステムが得意なベンダー、自動バージョンアップを備えているクラウドパッケージベンダーなど、各社特徴があります。
関連記事:EC構築システムの選定、パッケージとクラウド(SaaS)どっちがいいの?
嫌がる会社も多いですが、デジタルに先進的な競合他社が構築しているベンダーを選ぶということも重要です。
③開発リソース・体制を確認する
今はシステム会社のエンジニア(技術者)も人手不足なので、ベンダーの開発リソースやプロジェクト体制も確認しましょう。
ECシステム会社も仕事はあるが人はいないという状況で、社内外の開発リソースがないベンダーに依頼をしてしまうと、リニューアル時期が遅れてしまったり、遅延によりプロジェクトが中止になってしまうこともあります。
ECサイトのリニューアルだけでなく、リニューアル後の保守体制も大事です。
リニューアルは無事に成功したとしても、リリース後に人手がいなく、カスタマイズ(改修)に時間がかかってしまうというベンダーも多いので、保守体制も確認することが重要です。
④セキュリティ基準を満たしているか
ECサイトのリニューアルは、企業として目的があってリニューアルをするわけですが、セキュリティ基準は非常に大切です。
最近はマルウェア「EMOTET」も流行し、世界規模で拡大していますが、ここ数年でも個人情報の漏えい事故が多発しています。
企業としてセキュリティ基準を決めるということは難しいですが、過去にセキュリティ事故を起こしたベンダーなど、セキュリティの高いベンダーを選ぶようにしましょう。
⑤プロジェクトマネージャーとの相性を確認
ベンダー側にも、プロジェクトマネージャーという開発マネージャーが担当します。
いかにベンダーの営業マンが優秀でも、ECサイトを構築する開発プロジェクトマネージャーとの相性がいまいちだと、ECサイト構築が失敗してしまいます。
ECベンダーのプロジェクトマネージャーと面談し、ECサイトの実績やコミュニケーション能力も加味した上で、ベンダーに発注をするようにしましょう。
⑥経営層を巻き込んだプロジェクト体制をつくる
ここからは社内の意識的な、失敗しないポイントを5つ紹介します。
ECサイトリニューアルのプロジェクト体制は、経営層を巻き込んだ体制を整えることが重要です。
というのもECサイトのリニューアルプロジェクト中は、経営に関わってくる判断や、お金が絡むこともたくさん発生します。
そのたびに経営層に確認をしていると、リニューアルまでの時間もかかってしまいます。そもそも会社の収益に寄与しているECサイトのリニューアルですから、最低でも役員クラスの経営層にプロジェクトに入ってもらうことが非常に重要です。
⑦RFP(提案依頼書)を必ずつくる
RFPとよばれる提案依頼書を、必ずつくるようにしましょう。
RFP(提案依頼書)を作成する大きな意味としては、「口約束による曖昧な発注」を防ぐため、つまり導入後のトラブルの発生率を下げるために作成します。
他にもRFPを作るメリットとしては、「社内の意識や目的を一本化できる」ということもありますので、必ずRFPを作成してベンダーに依頼するようにしましょう。
詳しくは「RFP(提案依頼書)とは?書き方や意味、3つのメリットとは」で解説しています。
⑧ECベンダー選定の評価軸を明確にする
提案依頼をするECベンダーの評価軸を明確にしましょう。
コンペで3社ほどに声をかけていると、要件がブレて、選定基準が曖昧になってしまいます。
もちろん構築費用は重要ですが、費用だけでなくECサイトをオープンして売上をあげれることを重きにおいて、ECベンダーの評価軸を明確にしましょう。
パッケージの基本機能から開発体制、会社の体力的なところなどを並べて比較表を作り、担当部門だけでなく経営層や他部門も巻き込んで、選定をしていきましょう。
⑨スケジュールに余裕をもたせる
中規模〜大規模ECサイトのリニューアルに関しては、要件定義や設計、製造フェーズなど、ウォーターフォール型の開発を行っていきます。
なのでサイトをオープンしたい希望はあると思いますが、無理のないスケジュールを組むようにしましょう。
イメージとしては約3ヶ月ほどバッファをもたせておくことが重要です。
そのバッファがなく、希望スケジュール通りに進めようとすると、大事な部分が抜け漏れてしまったり、今からやり直さなければいけなかったりと失敗の要因になります。
⑩100%を目指さず70%を目指す
EC サイトのリニューアルは100%を目指さずに70%を目指すようにしましょう。
というのもEC サイトをオープンしてお客様に見てもらう前に、会社として100%を目指すというのは間違いです。
EC サイトはオープンさせてから、お客様に訪問していただき購入してもらうまでは、正しかったのか間違っているのかはわかりません。
なのでまず、自社でやりたいことを70%として目指していくことが必要です。
まずは70%を目指し、オープン後にお客様の声を聞きながら改修を重ね、100%に近づけていくような、プロトタイプシンキングの考え方が重要です。
ベンダーに任せない、自分たちが主体となることが重要
最後にEC サイトのリニューアルは、事業者が主体となることが非常に重要です。
特に失敗してしまってる企業は、依頼しているSIerやEC ベンダーにまかせっきりで、主体性がありません。なので失敗してしまうケースが多いです。
あくまでもECベンダーは、事業者がやりたいことを実現させることが仕事です。
ですからEC事業者側に、明確な指針がないとベンダーもより良いEC サイトを作ることができなくなります。
ECサイトのリニューアルに失敗するのは、よくECベンダーのせいとされていますが、基本的にはEC事業者が悪いというケースも多々あります。
ぜひ会社全体として主体性をもってECリニューアルを成功させましょう。
ECリニューアルはゴールではなくスタートだ!
ここまでご覧いただきありがとうございます。
今年はユナイテッドアローズやアダストリアをはじめ、上場企業のECサイトのリニューアルが失敗し、サイトが数ヶ月停止になったりと話題になっています。
今や消費者向けEC市場も18兆円にのぼる勢いということもあり、ECサイトという販売チャネルは企業にとって無くてはならないものになっています。
そんなECシステムのリニューアル(リプレイス)は、多額の費用がかかり、EC部門だけでなく社内外の多くの人材リソースを注ぐ必要があり、失敗してしまうと企業として多大な損出になります。
最後にEC サイトのリニューアルは、事業者が主体となることが非常に重要です。
ECサイトのリニューアルに失敗するのは、よくECベンダーのせいとされていますが、基本的にはEC事業者が悪いというケースも多々あります。
ぜひ会社全体として主体性をもってECリニューアルを成功させましょうね!
もしECサイト構築のシステム会社に迷ったら・・・
星の数ほどあるシステム構築会社を探し、最適なベンダーに依頼をするのは非常に難しいです。
ECプラットフォームを提供している会社(メーカー)が構築してくれる場合もありますが、
- プラットフォームベンダー(メーカー)
- インプリメントベンダー(実装する会社)
が別の場合もありますし、知識がないと難しいです。
- 自社の課題を解決してくれる
- 探す時間が取れない、探し方がわからない
- 費用の相場がわからない
- IT専門知識が少ない
もしこのような課題があったら、ECシステム構築会社に無料で一括見積ができる「発注ナビ」で問い合わせをしてみましょう。
会社でECサイト構築のプロジェクトに失敗してしまうと大変なことになってしまうのですが、ITコンサルタントが要件をヒアリングしてくれるので、最短1日で最適なECシステムの構築ベンダーが見つかります。
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