ECサイト構築やシステムのリニューアルをする場合、「ASPカート、クラウド、パッケージ」どのシステムを選定するべきなのか?これはシステムの知見がない方は非常に難しい問題です。
ECサイトの構築やリニューアルの方法として、まずはこの3種類のECカートシステムのなかから、適正なシステムを選定し、ECサイトを構築する必要があります。
この記事では、私がASPやECサイト構築ベンダーに在籍していた経験をもとにASPカート・クラウド・パッケージの比較や違い、特徴をかなり詳しく説明します。

【この記事はこんな疑問にお答えします】
- ASPカートとクラウドEC、ECパッケージの特徴は?
- 構築費用はどれくらいかかるの?
- 結論どれを選べばいいの?理由と年商規模も教えてほしい。
ASPカートとクラウドEC、ECパッケージの説明
まずはECサイトを構築する方法として、
- ASPカート
- クラウドEC
- ECパッケージ
この3種類のシステム基盤のなかからどれかを選定する必要があります。
すでにこの3つのシステム基盤には、ECサイトに必要な機能はそれなりに揃っていますが、
- サイトのデザイン
- 商品登録(商品マスタや価格設定)
- 決済手段
そのシステム基盤に上記のようなことを組み合わせて、ECサイトを構築していくわけです。

ASPカートとは
ASPはアプリケーションサービスプロバイダという意味で、賃貸マンションのイメージです。
あくまでもECシステムベンダー(業者)が構築した大きなプラットフォームを「サービス」として使わせてもらうということで、最新機能が自動アップデートしていくプラットフォームがメリットですが、一切カスタマイズができないということがデメリットですね。
関連記事:ASPカートシステムでECサイト構築、7つのメリットをご紹介
ASPカートとは賃貸マンション
ASPカートとは賃貸マンションをイメージしてください。
毎月決まった費用(家賃)を大家さんにお支払いして沢山の人が住んでいる大きなプラットフォームだと思ってください。
もちろん住む分には問題ないですよね?カーテンを変えたり電気をオシャレなものにしたり(ECでいうデザイン)は変えられるので、快適に暮らすことができます。
ですが壁をぶち抜いて部屋をくっつけたり、共有部分のドアを変えたりする(機能を拡張・カスタマイズ)はできないです。ASPカートとは賃貸マンションのように毎月決まった費用をお支払いして沢山の人が住ませてもらっている(使わせてもらっている)という感じなのです。

なぜかというと、「同じマンション内に住んでる人がいるんだから、あなたのためだけに機能を追加するなんてことはできないよ。だって変えたら他の住民にも迷惑かかるから」というスタイルなのです。
そのかわりに「住民のみなさんがより良く住めるために、みんなが欲しがりそうな機能や流行りの昨日はみんな使えるように随時使えるようにしていくよ!」というアップデートは自動でやってくれる感じです。



クラウドECシステムとは
クラウドECは最新機能が自動アップデートが行われるメリットがあり、カスタマイズが可能なECシステムになります。
外部システムとの連携も可能です。ですがシステムの根幹を変えるようなカスタマイズは自動アップデートの妨げになるのでできないです。
なぜなら基本はマンションなので、提供している事業者は共通のプラットフォームを利用しているからです。
クラウドECはリノベーションマンション
クラウドECとはリノベーションマンションをイメージしてください。
間取りや壁紙、キッチンなども好きなようにできます。当然ECサイトでも好きなようにカスタマイズをして独自のECサイトを構築することができます。
ですがカスタマイズは可能になりますが、カスタマイズするにもどうしても変えられない部分があるんです。それは共有部分の廊下やドア(プラットフォームの根幹になるもの)はカスタマイズができません。
ECの話に戻ると、購入フローを大幅に変えるようなカスタマイズや、データ基盤を変えるようなカスタマイズはできないってことなんです。
なぜならクラウドECも自動で機能が追加される自動アップデートがあるので、根幹になる部分を変えてしまうと、自動アップデートができなくなってしまうのです。






パッケージECシステムとは
パッケージECは企業のために構築するECシステムなので、共通のプラットフォームではなく、企業のためにつくる注文住宅です。
なのでフロントエンドやバックエンドも好きなようにカスタマイズができ、外部システムとの連携も可能です。独自のECサイトを構築できることがメリットですが、一旦構築すると自動アップデートはされないので、システムが老朽化してしまうことがデメリットとなります。
ECパッケージは注文住宅
ECパッケージは注文住宅のイメージです。
もう少し詳しく説明すると、セキスイハイム(積水化学)やパナホーム(パナソニック)のようなハウスメーカーで注文住宅をつくるような感じです。
元々のハウスメーカーが作っている家の基本を軸に、各部屋の間取りは変更可能だし、トイレを何個もつけたり、対面キッチンにしたりと自由に設計ができます。
ECに例えるとフロントエンドとバックエンド業務において必要な機能を各システム業者が作って基本機能を提供しており、その基本機能にないものをカスタマイズをして機能を作ったり、外部のシステムとデータ連携するなど自由自在にカスタマイズが可能になります。





各種の仕組みはわかりましたでしょうか?簡単に各種方法をまとめてみます。

各システム構築の費用はどれくらいなのか?
というところで各システム構築する費用の目安をお伝えします。これが構築方法によって全然違う金額感になるので、注意してください。
ちなみにこれはデザイン制作費用は加味していません。あくまでもシステム構築と月額のランニングコストの目安です。
ASPカートシステムの構築費用と月額費用
初期費用 | 0円〜10万円 |
月額費用 | 0円〜10万円 |
クラウドECシステム構築費用と月額費用
初期費用 | 300万円〜 |
月額費用 | 10万円〜 |
ECパッケージシステムの構築費用と月額費用
初期費用 | 500万円〜 |
月額費用 | 10万円〜 |


ということでこの記事の本質にはいりますので、もう少し続くのでちゃんと最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ちなみに構築費用の仕組みはこちらに詳細を書いております。
⇒ECサイトの構築費用は?費用の仕組みや内訳をECのプロが教えるよ
どれを選べばいいの?年商規模と理由も教えて
先程の初期費用や月額費用の目安に年商規模の目安、機能のカスタマイズ、外部ツール連携(接客ツールやレコメンド、モール連携ツールなど)、外部システム(販売管理システムや、ERPや基幹システムといわれる外部システムなど)の連携できるか?という項目を加えました。
これを見ながらあなたがどのEC構築システムを選べばいいのか?を説明いたします。
ASPカートシステムの年商規模とカスタマイズ範囲
初期費用 | 0円〜10万円 |
月額費用 | 0円〜10万円 |
年商規模の目安 | 〜1億円 |
機能のカスタマイズ | 不可 |
外部ツール連携 | ほぼ不可 |
外部システム連携 | ほぼ不可 |
ASPカートシステムをまとめるとこのような目安となります。まず初期用や月額費用は1万円〜10万円と書きましたがほぼ1万円前後〜5万円くらいだと思ってください。
おおよそのEC年商規模の目安ですがもちろん沢山売っている事業者もたくさんいますが、目安として「EC年商:1億円」といったところではないでしょうか。
なぜかというとEC年商が1億円を超えてくると、受注業務をはじめとしたバックエンドの運用業務が追いつかなくなってくるということが挙げられます。
バックエンドの運用業務というのは商品登録をしたり、売上管理をしたり、在庫管理をしたり、受注データを配送データとして物流倉庫に配送指示をしたりと、ECサイト運用における裏側の業務です。
例えば売上は自社の販売管理システムに手入力したりとか、物流倉庫への発送指示をASPシステムからCSVデータをダウンロードしてメールで送ったり、物流の在庫数を確認しつつECシステムへの在庫登録をしたり、するようなミスが許されない細かい運用業務が発生します。
このようなバックエンド業務を無くそうとしたり、簡易化しようとすると、外部システムとの自動連携が必須になってきます。
ASPカートシステムと自社の基幹システム(販売管理システムなど)や物流システムが勝手にデータをやりとりしてくれれば、こんなミスが許されない細かいバックエンドの運用業務を自動化することができます。

私がASPカートのベンダーにいたときはよく事業者様からこういう風に言われました。




ASPカートシステムのまとめ
ということで、ASPカートは非常に安く使えるが、売上があがってくるとバックエンドの運用業務がまわらなくなってくる。
だが業務効率化を行うような外部システムとの自動連携カスタマイズができないので、さらなる売上アップを目指して運用担当者を増やせないのであれば、ネクストステージであるクラウドECやECパッケージを検討すること!
ちなみにASPカートはフロントエンド機能(ECショップの売る方の画面や機能)はかなり充実してますので、外部システムと連携せず単独でECサイトを構築するだけであればASPカートで構築することをオススメします。
バックエンド業務はカスタマイズや外部システム連携ができないので注意です!ある程度構築に費用をかけれて本気で売っていく計画であれば、クラウドECやECパッケージを検討しましょう!
クラウドECシステムの年商規模とカスタマイズ範囲
初期費用 | 300万円〜 |
月額費用 | 10万円〜 |
年商規模の目安 | 1億円〜10億円 |
機能のカスタマイズ | 可能(一部制限あり) |
外部ツール連携 | 可能 |
外部システム連携 | 可能 |
クラウドECシステムをまとめるとこんな感じになります。ASPカートと比べると構築費用や月額ランニング費用が大きく跳ね上がりますね。
クラウドECのシステムはASPカートと比べると「半分同じで半分違う」ということが特徴です。
ASPカートと同じところは、基本的には充実した標準機能をベースにサービスとしてシステムを利用していくので、トレンドに合わせた自動アップデートがされていき、常に最新のシステムを利用することができます。
逆に違うところは構築時、個別にカスタマイズが可能ということです。ASPカートではみんなで同じシステムを使っているため、個別のカスタマイズは不可でした。ですが先程の説明どおりクラウドECシステムはリノベーションマンションです。
基本はみんなで同じシステムを使っているのですが、それを切り出して個別にカスタマイズが可能というイメージですね。
なので賃貸マンションとリノベーションマンションが全然費用が違うように、ASPカートと比べると費用があがってしまうわけです。
ASPカートとECパッケージの間という感じになっていますが、会話形式でもう少し詳しく説明します。








クラウドECシステムのまとめ
ということでASPカートの金額よりも2桁くらい費用感があがってしまうクラウドECシステムですが、ASPカートでは不可能だった個別のカスタマイズができるようになります。
フロントエンド機能や管理側のバックエンド機能や外部システム連携、このような個別のカスタマイズが可能になるのがクラウドECシステムです。
ですがシステムの根幹となる機能をカスタマイズするのはできなくなります。というよりもクラウドECシステムの魅力である「自動アップデート」ができなくなってしまうからなのです。※正確に言うとできないのではなくしない。
根幹の機能というのは提供しているベンダー(業者)によっても違うので、自分たちがやりたいECサイトの業務と機能を洗い出して、カスタマイズができない範囲に該当していないかをちゃんと見極めれれば、クラウドECシステムは最強のEC構築方法です!※その部分はベンダーに確認してみてくださいね!
ECパッケージシステムの年商規模とカスタマイズ範囲
初期費用 | 500万円〜 |
月額費用 | 10万円〜 |
年商規模の目安 | 1億円〜50億円 |
機能のカスタマイズ | 可能 |
外部ツール連携 | 可能 |
外部システム連携 | 可能 |
最後に「ECパッケージシステム」の登場です。
ECパッケージとは各システムベンダー(業者)が自社で作ったECに必要な機能をまとめたシステムです。その基本機能をメインとし、無い機能や標準連携していない外部システムはカスタマイズで作ってしまおうというのが、ECパッケージシステムです。
先程の例えだと「注文住宅」となるので、好きなようにカスタマイズして独自のECサイトを構築することができます。




ECパッケージシステムのまとめ
クラウドECシステムはマンションのように共通プラットフォームを使っていますが、ECパッケージは注文住宅ですのでどんなにカスタマイズしようが他に迷惑がかかりません。なので独自ECサイトを構築することがもできます。
そのかわり、そもそもカスタマイズをすることを前提としたシステムなので、費用はカスタマイズにより大きく変わってきます。上記では初期費用500万円〜と書きましたが、カスタマイズをしていくとほぼ1000万円前後〜といったところではないでしょうか?
売れるECサイト構築なら実績No.1の「futureshop」を検討
BtoCをターゲットにした消費者向けのECサイトの構築なら、7店舗に1店舗が年商1億円を超える実績がある「futureshop(フューチャーショップ)」が断然オススメです。
もともとはファッションやアパレル向けのECサイト構築に向いていましたが、アパレルのEC販売で必要だった特殊な機能をさらにアップデートし、今ではアパレルだけでなく最も売れているECサイトの多くが「futureshop」で構築されています。
月額22,000円~使える高機能ECプラットフォームなので、まずは無料で資料請求してみてください。
⇒ 総合ECサイトの売上実績No.1「futureshop」 資料を無料でダウンロードする

