EC業界・ネット通販業界の10大ニュースをまとめました

右肩あがりで市場拡大しているEC業界ですが、昨年は宅配便の値上げやアマゾンの行政介入やZOZOのプライベートブランド展開など、EC業界では昨年も様々なニュースがありました。

この記事ではEC業界のニュースTOP10を紹介し、2018年EC業界の主だったニュースをまとめつつ、私の所感をお伝えしていきたいと思います。

EC事業を行っている担当者さんは必ず抑えておくべき内容なので、ぜひご覧ください。

練馬聡一
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月間「ネット販売」で掲載されている2018年EC業界の10大ニュースをまとめました。

2018年EC業界の動向

2018年EC業界ではたくさんのニュースがありましたが、大手配送会社の値上げや台風による交通インフラの混乱など、あまり前向きではないニュースも多かったEC業界です。

2018年国内BtoC-ECの市場規模とEC化率

 

ですが2018年のEC市場規模はは17兆9,845億円となり、毎年5%を超える成長率で市場規模が拡大、これかも右肩上がりで拡大すると予想されています。

EC業界の今後については「EC業界の市場動向から見て、今後〜未来のeコマース業界は明るい!」をご覧ください。

それでは2018年のEC業界10大ニュースを振り返ってみましょう。

練馬聡一
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EC事業者の売上ランキングはこちらで紹介しています!

⇒【2019年最新】大手ECサイト・ネット通販売上高ランキングTOP100を発表!

出典:月間ネット販売 2019年1月号より

EC業界ニュース①:宅配便、日本郵便も値上げ

日本郵便株式会社が提供している「宅配便」が2018年に値上げしました。

2017年に配送料を値上げした「佐川急便」と「ヤマト運輸」ですが、配送料値上げにより「日本郵便」に乗り換えしたEC事業者が多かったですが、その日本郵便も2018年3月に「ゆうパック」の基本料金を値上げをし、法人向けの契約運賃の改定にも着手しました。

そのためEC事業者は配送コストを比較して配送会社を選ぶことができなくなり、配送コストの抑制が難しいという状況になっています。ちなみに「ゆうパック」の料金は平均12%の値上げになっており、110円~290円となっています。

法人向けの配送料の改定では、せっかくヤマト運輸や佐川急便から配送料の安い「日本郵便」に乗り換えたのにもかかわらず、1年以内に値上げをしたことで、結果的に佐川急便やヤマト運輸との配送料がほぼ同額になったということで、多くの企業から不満の声が上がっています。

練馬聡一
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それにより日本郵便の営業利益は前年比14.5%増となっています。

とはいえ配達員の人手不足や再配達の問題、俗にいう「宅配クライシス」については、今後EC事業者の頭を悩ます課題ということですね。

EC業界ニュース②:アマゾンに公取委が独禁法違反の疑いで調査

公正取引委員会は2018年3月にアマゾンジャパンに独占禁止法違反で立ち入り調査を行いました。

独占禁止法違反とは?公正取引委員会Webサイトより

”独占禁止法の正式名称は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です。この独占禁止法の目的は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることです。市場メカニズムが正しく機能していれば、事業者は、自らの創意工夫によって、より安くて優れた商品を提供して売上高を伸ばそうとしますし、消費者は、ニーズに合った商品を選択することができ、事業者間の競争によって消費者の利益が確保されることになります。このような考え方に基づいて競争を維持・促進する政策は「競争政策」と呼ばれています。

というのもアマゾンがセールなどで原価割れ赤字で販売した出品事業者に対して、事後に割引で生じた損失額の補填を要請したということで、これが「優越的地位の濫用」になる疑いがあるということです。

練馬聡一
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数%~数十%の範囲で割引補填を要請していたようです。

アマゾンは競合のECモールやECサイトの販売価格をリサーチして自社ECサイトの価格を反映するシステムを導入しているので、競合との価格競争によって損失につながってしまい、事後の割引補填につながってしまったとのこと。この審査の結果は2019年の始めに発表されるということです。

EC業界ニュース③:「楽天市場」全商品を自社配送へ

楽天は楽天市場の出店者向けに独自の配送ネットワークを構築する「ワンデリバリー構想」を発表しました。

これはEC販売に特化した配送ネットワークを楽天が独自に構築するということで、自社配送サービスの「楽天エクスプレス」や出店者の物流業務を請け負う「楽天スーパーロジスティクス」を活用し、今後は全店舗の商品を楽天が消費者に届けることができるようにしていくかたちです。

出店者は①全在庫を楽天の物流センターに預けるタイプ、②出荷の際に出店者の倉庫から楽天物流センターに横持ち移動するタイプ、このどちらかを選ぶことができます。

上記で書いた配送会社の値上げや再配達問題である「宅配クライシス」を受けて、楽天は注文から配送までを楽天が手がけていき、楽天市場の購買データやAI技術も活用し、配送会社よりも安い配送料で商品を届けていくと発表しています。

⇒フルフィルメントか内製化、自社ECサイトはどちらがいいのか?

EC業界ニュース④:ZOZOスーツなしでもPB購入可能に

ZOZOが発表したプライベートブランド「ZOZO」の購入に不可欠だった「ZOZOスーツ」ですが、方針転換でゾゾスーツがなくても購入が可能になりました。

今まではZOZOスーツを使いスマホで体型データを測定、それをEC上で購入するという形でしたが、すでに蓄積している多くの顧客の体型データを活用し、ユーザーが身長、体重、年代、性別を入力することで最適なサイズを提案できる仕組みになっています。

今後はこれを全商品に適応していく計画で、将来的にはビジネススーツも測定無しで生産する体制にしていくそうです。

現在ZOZOスーツの配布も70億円ほどのコストが掛かったようですが、それを行うことで40億円にコストを抑えることができるということで、今後は日本だけでなく世界各国のユーザー特性を掴むためのデータ収集用に利用する。

練馬聡一
練馬聡一
私はZOZOスーツは買いそこねましたけどね笑

EC業界ニュース⑤:楽天とKDDIが物流などで提携

楽天とKDDI(Wowma:ワウマ)は昨年11月に決済、物流、通信の分野で提携すると発表しました。

EC関連においては、上記でも説明した楽天が実施している物流サービスである「楽天スーパーロジスティクス」「楽天エクスプレス」を、KDDIが運営するECモール「Wowma!(ワウマ)」の出店者が利用できるようになるということ。

練馬聡一
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2019年4月からWowma!(ワウマ)の出店者向けに提供を始めます。サービスを利用する費用はまだ未定だそうです。

後発のECモールであるWowma!(ワウマ)ですが、ここ数年で出店者数が増加し、有名企業が出店することも多くなってきたWowma!(ワウマ)ですが、ECモール先駆者である「楽天市場」の仕組みを利用することで、出店者向けのサービスを向上させるという目的です。

Wowma!の出店者に利用してもらうことで、楽天も自社配送のサービスで収益を挙げられるというメリットがあります。

EC業界ニュース⑥:米イーベイが日本再上陸

日本では2000年からオークションサイトの運営を開始していたeBay(イーベイ)ですが、5月にECモールの「Qoo10」を運営するジオシス日本事業を買収したことで再上陸しました。

イーベイはオークション事業やマーケットプレイス事業を世界各国で行っている企業ですが、2000年当時は「ヤフオク!」などの競合があったため、早々に撤退していました。

ジオシスが「イーベイ・ジャパン」となってからは大規模プロモーションを行い、「Qoo10」の認知拡大を図るためタレントの仲里依紗を起用してテレビCVを実施。さらにモール内でもクーポン配布やキャンペーンを大々的に行い、多くの集客を行っています。

練馬聡一
練馬聡一
今後はアメリカのイーベイをバックに事業展開をしていくので、注目ですね!

EC業界ニュース⑦:生鮮品ECが活況

楽天と西友が10月に立ち上げた「楽天ネットスーパー」を立ち上げましたが、多くの企業の生鮮食品のECが非常に好調です。

2018年の食品のEC市場規模は1兆5,579億円となり、BtoCのEC市場は年々拡大しており、食品のEC化率は2.41%となっています。詳しくは「食品EC・ネット通販、市場規模やEC化率をご紹介」で解説しています。

アマゾンが行っている「アマゾンフレッシュ」や「オイシックス」など、生鮮食品のECにおいては盛り上がりを見せており、多くの企業がECで食品を販売するネットスーパー事業を本格展開しています。

今ではECサイトの売上ランキングでも食品をメインに扱うEC事業者も上位にランクインしてきています。食品ECの売上ランキングは「食品EC・ネット通販の売上高ランキングTOP50を発表!」で詳しく紹介しています。

練馬聡一
練馬聡一
食品は目で見て買いたいという需要はあるものの、共働きの家庭では大助かりですよね!

EC業界ニュース⑧:ライブコマース盛り上がる

ライブ配信を行い動画で商品を販売する「ライブコマース」が盛り上がりました。

「メルカリ」や「Yahoo!ショッピング」のプラットフォーム事業者が、ライブコマースが可能になる機能を提供した2017年~2018年から始まり、エブリーとKDDIがライブコマースアプリ「CHECK」を提供し、Wowma!(ワウマ)の商品を紹介できるライブコマースを開始したり、アマゾンが12月のセールに合わせてYouTuberを起用してライブコマースを行っています。

練馬聡一
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動画元年と言われているこれからの時代、EC業界もどんどん増えていくでしょう!

EC業界ニュース⑨:割賦販売法改正、非保持化必須に

割賦販売法が改正され、EC事業者はクレジットカード情報を「非保持化」することが必須になりました。

簡単にいうと今まではECシステム内に「クレジットカード情報」を保持することができましたが、クレジットカードの国際基準である「PCI DSS」に準拠したEC事業者でないと、クレジットカード情報を保持することができなくなります。準拠していないEC事業者は、クレジットカード情報がシステムを通過しない「非通過・非保持」が必須となり、「トークン型」もしくは「画面遷移型」のどちらかで対応しないといけないという事になりました。

練馬聡一
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ちなみにPCI DSSに準拠するには億近くの費用がかかります!

特に2017年はEC-CUBEなどのオープンソース系のミドルウェア「Apache Struts2」に脆弱性が見つかり、多くのEC事業者にセキュリティ攻撃があり、個人情報やカード情報などの漏えい事故が多発しました。

⇒EC-CUBE(オープンソース)でECサイト構築はアリなのか?

EC業界ニュース⑩:オイシックス・ラ・大地とらでぃしゅぼーやが経営統合

オイシックス・ラ・大地は10月に子会社のらでぃっしゅぼーやと経営統合しました。

これまでは食品のEC・宅配の3ブランドは競合関係にありましたが、「オイシックス」はミールキットを中心に共働きのママ向けに、「らでぃっしゅぼーや」は40~50代の主婦向けに、「大地を守る会」は50~60代のシニア女性向けに商品を展開するというターゲットセグメントを明確にしました。

顧客セグメントはできたものの、マーケティングプラットフォームは共有し、定期購入のモデルによる顧客データベースの構築や、CRM、プロモーションのノウハウは全事業で活用し、一人あたりの獲得コスト(CPA)改善し、コスト削減につなげるということ。

他には物流などのインフラ回りも、調達ネットワークの拡大から、食品加工・製造拠点の統合を行うということです。

練馬聡一
練馬聡一
グループ全体の売上は600億円!大規模な食品EC・宅配事業者です。

2018年EC業界ニュースまとめ

それでは上記で紹介した以外にも、2018年のEC業界ニュースを振り返ってみましょう。

出典:月間ネット販売 2019年1月号より

1月のニュース

MonotaROと住友商事、合併会社を設立して中国で中小製造業者向けのBtoB通販を開始
消費者庁、「葛の花由来イソフラボン」を含む機能性表示食品販売の9社に、景品表示法に基づく課徴金納付命令
GMOぺパボ ECサイト構築サービスで、運営事業者の力ード情報など最大9000件以上流出
楽天、ウォルマートストアーズとの提携を発表西友と新会社を設立しネットスーパー運営へ
アマゾンジャパン、景品表示法違反の取り消しを求め消費者庁を提訴
スタートトゥデイ、 PBの第1弾で、 Tシャッとデニムパンツの販売を開始

2月のニュース

買えるAbemaTV社、ネットテレビ局「Abema (アベマ) TV」でテレビ通販番組を開始
オイシックスドット大地、らでぃっしゅほーやを買収
ジャパンパレタス、 800人以上の力ード情報が流出
ロコンド、ラオックス子会社で輪人靴などを手がけるモードエジャコモ(MED、オギツ)と業務提携
スタートトゥデイ、「ゾゾタウン」を通じてコーディネート商品の定期販売サービスを開始

3月のニュース

日本郵便、宅配便ゆうパック」の基本運賃を引き上げ
公正取引委員会、アマゾンジャパンに独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査
消費者庁と総務省、特定電子メール法に違反したとしてMOTHERに措置命令
RIZAPグループ、サンケイリビング新聞社を買収
消費者庁、 DMM.comと家電製品企画のUPQの2社に景品表示法に基づく措置命令
JALUX、通販サイトを刷新してJALマイルの使用が可能に
クルーズ、ファッションECモールの「SHOPLIST」事業などを会社分割して子会社化

4月のニュース

スタートトゥデイ、子会社3社を合併し、「スタートトゥデイテクノロジーズ」を発足
楽天とビックカメラ、合弁会社の2社を設立し、「楽天市場」内に、家電の通販サイトを開設
アマゾンジャパン、 EC事業者向けの物流業務代行サービスの利用料金を値上げ
アスクル、「LOHACO」で日用品のプライベートブランドの展開を開始、第1弾はタオル
ロコンド、ラオックスと共同でニッセンホールディングスからギフト販売大手シャディの全株式を取得
楽天、携帯キャリア参入が決定
ヤマト運輸とディーエヌエー、神奈川県藤沢市で自動運転車両を用いた次世代物流の実験

5月のニュース

ミクシィ、チケットの個人間取引サービス「チケットキャンプ」を終了
米イーベイ、仮想モール事業などを手がけるジオシスの日本事業を買収
森永乳業、健食通販サイトで約2万3000人分の力ード情報流出の疑い
オールアバウト、 NTT ドコモと資本業務提携
NTT ドコモ、 KDDI、ソフトバンクの 3社、コミュニケーションアプリ「+メッセージ」の配信開始

6月のニュース

1都3県の運送業者23社で組織するラストワンマイル協同組合、 EC商品の宅配
カルチュアコンビニエンスクラブ、子会社を通じてカメラ販売のキタムラを子会社化
インスタグラム、ショッピング機能の「shopnow」を実装
改正割賦販売法が施行力ード番号の管理強化へ

7月のニュース

生鮮品ECの大手3社統合で「オイシックスラ大地」が誕生
しまむら、「ゾゾタウン」へ出店
ユニクロ、アプリにA1活用の購入アシスタント機能を本格導入
ジェネレーションパス、ユニーファミリーマートホールディングスと業務提携。両社でEC事業の展開目指す
消費者庁、健食通販のLifeLeafに「太るサプリ」で景品表示法に基づく措置命令
消費者庁、健食通販のGLONAに「豊胸サプリ」で景品表示法に基づく措置命令
楽天、2020年までに楽天市場」全商品を自社配送にすることを発表
グラッド、フラッシュセールサイト運営のギルトグループを買収

8月のニュース

ティーライフ、ベビー用品や家具雑貨などのECを行う Lifeit (旧桃源郷)を買収
KDDIとカカクコム、資本業務提携
だいにち堂、景品表示法に基づく措置命令取り消しを求めて消費者庁を提訴
KDDI、動画サイト運営のエブリーと組んでライブコマースを開始
楽天、西友とネットスーパー開始
ローソン、物流費高騰の影響で食品ECから撤退
アマゾンジャパン、実店舗向けスマホ決済サービスを開始

9月のニュース

ケフィア事業振興会と関連3社が破産負債総額は4社で1000億円超、債権者は3万人以上
中国大手ECの京東集団、日本商品の仕入れ拠点を本格稼働 1年で仕入高の倍増目指す
国交省、ドローン配送で自主ガイドラインをとりまとめ
クックパッド、生鮮品ECを開始
大型台風が日本列島に相次いで上陸。交通インフラが混乱し、 ECでも商品遅配が続出

10月のニュース

楽天、「ぐるなび」とID連携を開始
スタートトゥデイ、社名を「ZOZO (ゾゾ)」に変更
楽天、「楽天市場」での「文字多い画像」を禁止に
ファーストリテイリング、 EC拠点に大型自動倉庫を本格導入
アマゾンジャパン、 A1スピーカーでの音声EC機能を外部事業者にも開放
米医薬品大手のJ&J、ドクターシーラボの持ち株会社のシーズホールディングスの買収を発表
千趣会、業績不振で社長交代大規模な人員削減や本社移転も
消費者庁、青汁ECのシエルの「痩身効果表示」の青汁で景品表示法に基づく措置命令

11月のニュース

楽天とKDDI、決済物流通信分野で提携
RIZAPグループ、赤字転落で新規M&Aの凍結へ
イーベイジャパン、仮想モール「Qoo10」の初テレビCM放映
綿半ホールディングス、家電ECのアベルネットを買収
楽天、持続可能な消費を提案するサイト「アースモール」を開設
ジーユー、 EC連動のショールーム店舗を初開設

12月のニュース

アマゾンジャパン、初のライブコマース実施
印鑑通販のAmidA、マザーズに新規上場
スマートフォン決済サービス「paypay(ペイペイ)」が100億円を原資に「100億円あげちゃうキャンヘーン」を実施し、 10日間で終了
KDDIコマースフォワードとルクサ、 2019年4月に合併することを発表
アマゾンジャパンとメルカリが経団連に加盟

ここまでご覧いただきありがとうございます。2018年のEC業界ニュースは参考になりましたか?

2019年もボイスコマースや動画コマースなど、目まぐるしい動きがありそうなEC業界なので、ぜひ時流に乗り遅れないように最新情報をチェックしていきましょう!