新規顧客開拓と既存顧客との取引増、営業はどちらに注力すべきか?

新規顧客の開拓と既存顧客の取引増、どちらに注力すべきなのか?結論から言うと「既存顧客」です。

これはBtoC企業でもBtoB企業でも言えることです。今回はマーケティングと営業観点で、その理由を解説したいと思います。

新規顧客 or 既存顧客はどちらに注力?

結論 既存顧客の取引増加に注力すべきです

もちろん「新規顧客の開拓」「既存顧客との取引増加」は両方ともビジネスにおいては非常に重要です。

大企業でマーケティング部門や営業部門のリソース(人数)を多数有している場合は、新規顧客の開拓をマーケティング部門が行い、既存顧客との取引増加は営業部門が行ったりと、部門によりタスクを分担して活動をしている企業もあるでしょう。

ですがそれは大企業のお話で、各担当部門に十分な人員を充てられないという企業も多く存在すると思います。

スタートアップの企業でない限り、「新規顧客の開拓」「既存顧客との取引増加」においては、後者の既存顧客との取引増加に注力すべきです。

なぜなら新規顧客の開拓には大きな労力とコストが発生します。マーケティング用語でもよく使われている、「1:5の法則」はご存知ですか?

マーケティング用語「1:5の法則」とは?

「1:5の法則」を簡単に説明すると、かかるコストの割合を示しています。

練馬聡一
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コストというのはお金のことだけでなく、営業マンの工数なんかも含まれています。

新規顧客を獲得するためには、既存顧客の5倍のコストが発生するという法則です。新規顧客の獲得には広告を含んだマーケティング活動、インサイドセールス、初回訪問〜クロージングまでの営業マンの活動など、お金と人的工数が発生します。

⇒リード獲得できるマーケティング手法の具体策!
⇒インサイドセールスとは?営業効率を最大化するチーム編成
⇒営業の極意、失敗しないクロージングは「2度行う」

新規顧客を獲得したとしても、それまでかかっていたコストが発生しているので、利益は低くなります。

逆に既存顧客は一度は取引をしているということで、少ないコストで再度取引をしてくれる可能性も高く、グリップさえできれば中長期的に取引を行ってくれる可能性が高いということで、既存顧客との取引増加を目指していった方が重要という考えのことです。

練馬聡一
練馬聡一
なのでどちらかと聞かれれれば「既存顧客」に注力すべきです。

既存顧客との取引増加をするには?

そこで既存顧客との取引増加を実現するために必要なことを解説します。

⇒既存顧客との売上を最大化する極意

まずは上記の記事で解説をしているように、お客様のところに毎日訪問することです。

練馬聡一
練馬聡一
この記事は大真面目に語っているのですが、若干パワープレイなので、もっと定量的な具体策をお話しますね笑

既存顧客との取引増加といっても、取引増加が難しい顧客に対して営業部門が時間ばかりかけていると、これはこれで取引が増えるはずもありません。それに関しては以下の記事で説明をしています。

⇒売れる営業と売れない営業の違いは1つだけ

上記の記事では課題が顕在化している顧客にのみ営業活動を注力するという内容なのですが、それを実現するには既存顧客を分析する必要があります。

どの顧客に注力すべきかということがわかる分析方法になりますので、ぜひ参考にしてください。

既存顧客分析の手法

既存顧客を分析する目的としては、購買(発注)を予測することです。

どの既存顧客が新たな発注をいただけそうなのかを予測することで、営業マンが効率的にアプローチすることで既存顧客との取引を増加させることができます。

そのためにはある基準で顧客を絞り込んでいく必要があります。その分析手法を2つご紹介します。

顧客分析の手法その① 「デシル分析」

デシルとはラテン語で「10等分」という意味で、簡単にいうと「既存顧客を10等分」にしてスコアリングをしていく手法です。

練馬聡一
練馬聡一
これはエクセルでも簡単にできる分析手法です!

例えば顧客数が1,000人だったとすると、以下の手順でエクセルで表にしてください。

①抽出する期間を決める(商材にもよるが長すぎるのはNG)
②顧客を購入金額の多い順番に並び替え
③順番に100人ずつの10グループにわける
④各グループの購入金額が全体を100%として何%になるのかを計算
⑤上位グループからどれくらいの比率を占めているのかを算出

簡単に表にするとこのような形になります。

累計購入金額 購入金額比率
デシル1(100名) ¥20,000,000 51.28%
デシル2(100名) ¥10,000,000 25.64%
デシル3(100名) ¥5,000,000 12.82%
デシル4(100名) ¥2,000,000 5.13%
デシル5(100名) ¥1,000,000 2.56%
デシル6(100名) ¥500,000 1.28%
デシル7(100名) ¥200,000 0.51%
デシル8(100名) ¥150,000 0.38%
デシル9(100名) ¥100,000 0.26%
デシル10(100名) ¥50,000 0.13%
合計 ¥39,000,000 100%

 

練馬聡一
練馬聡一
ほとんどがデシル1〜2の20%で全体売上の80%を占めていると思います。これがパレートの法則(8:2)と言われるものですね。

このような形でデシル分析を行ってみてグループ化することによって、上位顧客に対して営業マンが友好的にアプローチしていくことが可能となるのがこのデシル分析となります。

これは簡単すぎる分析手法なので、上位顧客にアプローチをもうしているよ。という方々向けに、もう一歩踏み込んだ「RFM分析」の解説をいたします。

顧客分析の手法その② 「RFM分析」

デシル分析が【購入金額】のみに焦点を当てた分析方法ですが、もうもう一歩踏み込んだ「RFM分析」の手法を解説します。

「RFM分析」とは、Recency 【最新購入日】、Frequency 【購入頻度】、をデシル分析でも行ったMonetary 【購入金額】を含めて3つの指標で顧客を分析する方法です。

デシル分析だけだとMonetary 【購入金額】のみの分析となるので、過去に大きな注文があって現在は取引がなくなってしまっている顧客も該当してしまうので、今アプローチすべき顧客が正しく抽出できない可能性があります。

そこで「RFM分析」の手法を用いると明確に分析することができます。まずは「RFM分析」のR・F・Mについて簡単に説明します。

RFM分析の各指標

Recency(リセンシー):最新購入日
既存顧客が直近でいつ購入したか?という指標です。

練馬聡一
練馬聡一
何年も前に購入してくれた顧客よりも、最近購入してくれた顧客の方が「有料顧客」という考え方ですね。

Frequency(フリークエンシー):購入頻度
既存顧客が何回購入してくれているか?という指標です。

練馬聡一
練馬聡一
購入してくれた回数が多い方が「有料顧客」という考え方です。

Monetary(マネタリー):購入金額
既存顧客が何円購入してくれているか?という指標です。

練馬聡一
練馬聡一
購入金額が多い方が「有料顧客」という考え方です。

まずRFMランクを定義する

まずはRFMのランクを定義することから始まります。あまり多くのランクにしてしまうと分かりづらくなってしまうので、たいてい以下のように5つのランクに分けて定義するこということが一般的です。

R:最新購入日 F:購入頻度 M:購入金額
ランク5 30日以内 10回以上 1,000,000円以上
ランク4 60日以内 5回以上 500,000円以上
ランク3 90日以内 3回以上 300,000円以上
ランク2 180日以内 2回以上 100,000円以上
ランク1 180日以上 1回のみ 100,000円以下

 

練馬聡一
練馬聡一
この定義は提供している商品やサービスによって変わりますので、みなさまの提供しているものに置き換えて考えてください。

このR・F・Mの指標を中心に考え、各ランクが高い顧客に対してアプローチをしていくようにしましょう。

練馬聡一
練馬聡一
すべてがランク5だったら超優良顧客ということになりますね。

とはいえR(最新購入日)とF(購入頻度)が高くてM(購入金額)が低いということはまずないので、R(最新購入日)とF(購入頻度)をクロス分析していくことが重要です。

新規顧客 or 既存顧客はどちらに注力すべきなのか

上記の説明のように、注力すべきなのは「既存顧客」です。

既存顧客に注力して取引増加を狙う!といっても、脈のない過去顧客にアプローチしても無駄な労力がかかり、取引が増えるはずもありません。

このようなデシル分析やRFM分析を行いつつ、既存顧客との取引を増加させるようにしましょう!

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