メーカーから直接消費者に商品を販売していくDtoC(Direct to Consumer)と呼ばれる、メーカーECが盛り上がりをみせています。
メーカーは本来小売店や専門店への卸を行い、消費者に直接販売をしないビジネスモデルでしたが、最近は○○オンラインショップ~だったり、○○ダイレクトだったり、メーカーから消費者に向けて直接ECサイトで販売をしていく企業が増えてきています。
ですがそんなメーカーECは障壁や課題が山積みです・・・。
この記事では大手・有名企業のメーカーEC担当者さんの課題や悩みを聞いてきた私が、企業がメーカーECを行う理由や、担当者の課題を解説しつつ、メーカーECの成功ポイントをご紹介します。
メーカーが直販のECサイトを運営する理由
まず様々なメーカー企業が、直接消費者向けにECサイトを展開している理由としては
- 自社のオウンドメディアとして運営する
- 顧客データをマーケティングに活用したい
- 顧客と直接コミュニケーションをとりたい
- 販売チャネルの拡大
上記の4つの理由があります。その理由を詳しく解説していきます。
自社のオウンドメディアとして運営する
まずは自社のオウンドメディアとして運営をしているということです。
メーカーは今まで小売店や専門店などの卸先を通して、消費者に販売されているのにもかかわらず、大手メーカーであればテレビCMで発信したり、雑誌をはじめとしたメディアを活用し認知拡大やプロモーションを行っていました。Webではコーポレートサイトを構築し、商品情報を掲載する程度のものでした。
ですが商品を知りたいユーザーにとっては会社概要や資本金、株主構成などの会社のことはどうでもよく、効率よく商品情報を知りたいということで、ECサイトを構築し、商品も購入可能なオウンドメディアのひとつとしてECサイトを運営している。という理由があります。
顧客データをマーケティングに活用したい
従来は小売店、専門店から消費者に販売されていたため、消費者の顧客データは、メーカー側は取得できませんでした。
そのため顧客データを活用したマーケティングに活かすことができないということがメーカーの永遠のテーマでした。
ですがECサイトを構築すれば、顧客の住んでいる地域や性別、メールアドレスなどの顧客データが手に入るため、顧客の地域や特性、購買データなどを活用し、今後の販路拡大や商品の改善、値段の見直し、プロモーション方法など、メーカーの今後のマーケティングに活用できるという利点があります。
ちなみに顧客を中心に考えた販路、価格、商品、プロモーションの改善はマーケティングの4Cと言われており、「マーケティングの4Cとは?現代マーケティングの考え方を理解しよう」で解説しています。
関連記事:メーカーEC(DtoC)事業者はマーケティング予算をどこに投資すべきなのか?
顧客と直接コミュニケーションをとりたい
メーカーが直販ECサイトを運営することによって、ECサイト上やメールマガジンなどを活用し、新商品やイベントの告知をしたりする、CRMを行うことができるという点もECサイトを運営する理由です。
上記で説明した顧客データを活用すれば、いままで大きな費用をかけて行っていたマス広告などでの発信ではなく、顧客個人に対して直接情報を届けることができるようになります。
販売チャネルの拡大
オウンドメディアとしての活用、顧客データを活用したいなどの理由もありますが、といってもやはり販売チャネルを拡大し、売上を上げるということも大きな理由です。
当然小売店への卸で販売した商品に関しては、メーカー側は半値程度の卸価格(下代)で販売をするので、低利益になります。自社のECサイトで直接消費者に向けて販売ができれば、利益幅は増えますので、直接売れれば売れるほど利益がでるわけです。
この「大手ECサイト・ネット通販売上高ランキングTOP100を発表!」でご紹介しているECサイトの売上ランキングでも、多くのメーカーがランクインしています。
ですがメーカーは今まで小売店に大変お世話になっているわけなので、自社サイトで直接販売をしていくためには社内外に多くの障壁や課題があります。そんな課題をご紹介していきます。
メーカーEC担当者の課題とは?
メーカーでEC直販を行う目的としては主に上記4つの理由がありますが、販売チャネルの拡大ということをメインにしているメーカーが多いです。
ですがメーカー直販のECサイトで売上を上げていくためには様々な課題があります。
卸・流通の営業部門とぶつかる
小売店への卸がメインのメーカーですから、自社で直接販売をされたら小売店側からは良い気はされないですし、卸先のお得意様を担当している営業マンからは、
となるわけですよね。もちろん自社で直販したほうが利幅は大きく利益は出るのですが、今まで自社の商品を消費者に販売してくれていた卸先様のおかげで成り立っていたわけですから、もちろん無視はできないですよね・・・。
マーケットプレイスなどに出せない
これも上記と似たようなことなのですが、Amazonなどのモールが運営しているマーケットプレイスなどに出店・出品ができないということです。
なぜかというと卸先の小売店さんもメーカーから仕入れたものを自社で値付けしてマーケットプレイスにも出品したりしていたりするわけです。しかも値引きした価格で・・。そうなると卸先の商品とバッティングしてしまうので、集客が見込める大手モールなどのマーケットプレイスに出品ができないのです。
ちなみにECモールについては、「ECモールとは?2つの種類とメリット・デメリットを理解しよう」で解説しています。
値引きができない(定価販売するしかない)
これがメーカーECでもっとも多い課題です。
基本的にメーカーがECで直販する場合は、定価で販売が基本になります。なぜなら卸先の小売店により下代(卸の値段)が変わっており、小売店が値引きした金額で販売をしているからです。
当然メーカーが値引きをしてしまえば卸先よりも安い価格で販売しても利益が見込めてしまうので、お客様からするとわざわざ小売店で買うよりも安く購入することができてしまいます。
となるとメーカーの売上の大半を占めている小売店への卸取引が減ってしまう可能性があるため、値引きができないというハンディキャップがあります。
でも売上上げるにはどうすればいいの?
という声が皆様から聞こえてきます。では大手・有名メーカーのECを見てきた私から「定価」でECで売上をアップする方法を事例をもとにご紹介します!
メーカーECの売上アップのポイントは「限定商品」の販売
定価で勝負しなければいけないメーカーECの売上を上げる方法はこれしかありません。それは・・・
- 限定商品を販売する
- 商品の先行販売をする
例えば娘さんへの誕生日プレゼントを買おうとしてあるおもちゃメーカーの「○リキュア」の商品が欲しいとします。
実店舗でいえば「トイザらス」だったり、ECでも「Amazon」で買えば約7〜8割くらいで買えてしまいますよね。正直私でも値段が一番気になるところではありますので、同じ商品が違う値段で販売されていたら絶対に安いところで買ってしまいます。
ですがメーカーのECサイトには「○リキュア」の限定衣装であったり、例えば他のキャラクターとの「○リキュア×○カちゃん」なんていうのが限定で売られていたら、娘さんを喜ばせたい一心で買いますよね?
ちょっと例えが下手でしたが、定価で勝負する正直いって卸がメイン事業のメーカーECにおいて定価でECで勝負するにはこれしかありません。メーカー直販のECにおいて成功している企業は全てこのビジネスモデルを行っています。
なのでメーカー直販のEC担当者様はGoogleアナリティクスなんて見ている場合ではありません!すぐに商品部や企画部に掛け合い、コラボや先行発売「限定商品」の制作を企画しましょう!
メーカーEC(DtoC)を成功させるポイントまとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
この記事をまとめると、まずメーカーが自社ECを運営する理由としては、
- 自社のオウンドメディアとして運営する
- 顧客データをマーケティングに活用したい
- 顧客と直接コミュニケーションをとりたい
- 販売チャネルの拡大
という4つの理由があります。①〜③を本来の目的としているメーカー企業も多いですが、やはり④の販売チャネルの拡大というところをメインの目的としているメーカー企業も多いです。ですがメーカーECで売上を上げていくためには多くの課題があり、
- 卸・流通の営業部門とぶつかる
- マーケットプレイスなどに出せない
- 値引きができない(定価で販売するしかない)
とこのような課題があります。それでもメーカーECサイトで売上を上げていきたい場合は、
- 限定商品を販売する
- 商品の先行販売をする
この方法を行っていきましょう。上記のポイントを頭に入れていただき、メーカーECを成功させてください。
関連記事:【2020年最新】アメリカDtoC企業のEC売上高は1兆9287億円に達する見込み
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