「若者のテレビ離れ」という言葉がささやかれている今、テレビCMを中心としたテレビ広告の広告費も減少しています。それは日本だけでなく海外でも同じ現象が起こっています。
日本では2016年がテレビ広告費のピークで、それから減少傾向であり、アメリカでは2018年がピークとなっていて、これから2022年までにテレビ広告が媒体別の広告シェアの1/4を下回るという見込みです。
とはいえ広告市場全体が下がっているわけではなく、インターネットを活用したデジタル広告費は拡大しています。
この記事では、国内や海外のデータをもとに、テレビ広告市場の減少の傾向や、今後どこに動画広告がシフトしていくのか?をご紹介します。
テレビの視聴時間は2015年から減少、ネット利用時間は増加
これは総務省が発表している、休日の年代別のメディアとの視聴時間を記したデータです。
リアルタイムで視聴されているテレビをはじめ、録画したものも含め、インターネットの利用時間、新聞やラジオの視聴時間を発表しています。
平均利用時間(単位:分) | ||||||
テレビ(リアルタイム)視聴 | テレビ(録画) | ネット利用 | 新聞閲読 | ラジオ聴取 | ||
全年代 | 2013年 | 225.4 | 30.5 | 86.1 | 13.5 | 7.0 |
2014年 | 228.9 | 30.5 | 100.6 | 14.2 | 12.2 | |
2015年 | 231.2 | 33.9 | 113.7 | 13.0 | 11.9 | |
2016年 | 225.1 | 32.9 | 120.7 | 11.9 | 7.4 | |
2017年 | 214.0 | 27.2 | 123.0 | 12.2 | 5.6 | |
10代 | 2013年 | 140.7 | 40.1 | 151.7 | 0.5 | 0.4 |
2014年 | 147.4 | 45.0 | 180.5 | 4.1 | 1.3 | |
2015年 | 155.8 | 30.6 | 221.3 | 0.4 | 0.6 | |
2016年 | 122.9 | 25.9 | 225.7 | 0.9 | 0.5 | |
2017年 | 120.5 | 20.6 | 212.5 | 0.5 | 3.6 | |
20代 | 2013年 | 170.7 | 35.7 | 170.3 | 1.7 | 0.4 |
2014年 | 161.4 | 24.4 | 194.9 | 2.8 | 3.4 | |
2015年 | 155.4 | 34.6 | 210.0 | 2.0 | 4.4 | |
2016年 | 152.7 | 26.0 | 216.1 | 3.2 | 8.9 | |
2017年 | 120.3 | 26.6 | 228.8 | 2.4 | 2.9 | |
30代 | 2013年 | 221.0 | 23.7 | 93.8 | 6.7 | 2.6 |
2014年 | 197.5 | 35.2 | 101.7 | 4.9 | 3.1 | |
2015年 | 197.1 | 36.9 | 131.3 | 5.1 | 9.2 | |
2016年 | 202.5 | 34.8 | 119.5 | 3.9 | 3.2 | |
2017年 | 166.9 | 26.4 | 136.0 | 3.8 | 2.8 | |
40代 | 2013年 | 204.3 | 28.3 | 73.3 | 11.6 | 11.8 |
2014年 | 233.9 | 28.8 | 82.9 | 12.5 | 9.6 | |
2015年 | 208.6 | 34.9 | 91.9 | 9.8 | 5.9 | |
2016年 | 222.4 | 48.1 | 117.1 | 10.1 | 4.5 | |
2017年 | 213.3 | 31.6 | 109.2 | 7.6 | 4.7 | |
50代 | 2013年 | 254.2 | 38.3 | 50.0 | 19.3 | 10.0 |
2014年 | 265.3 | 37.8 | 73.7 | 19.1 | 14.3 | |
2015年 | 300.1 | 35.7 | 70.4 | 18.0 | 11.3 | |
2016年 | 250.4 | 29.7 | 80.1 | 15.6 | 8.4 | |
2017年 | 265.7 | 30.8 | 82.4 | 16.1 | 7.4 | |
60代 | 2013年 | 305.7 | 24.0 | 29.3 | 31.8 | 11.9 |
2014年 | 310.3 | 19.6 | 33.5 | 33.4 | 33.2 | |
2015年 | 317.1 | 29.7 | 37.1 | 33.2 | 31.7 | |
2016年 | 325.1 | 26.7 | 43.3 | 28.9 | 15.5 | |
2017年 | 320.7 | 23.6 | 44.6 | 33.0 | 10.2 |
出典:総務省 主なメディアの利用時間と行為者率より
総務省が発表している調査資料によると、2017年の全年代による休日のテレビ視聴時間は214分(3時間34分)となっています。これが多いか少ないかはさておき、テレビの視聴時間に関しては、2015年の231分(3時間51分)がピークであり、年々減少しています。
年齢が上がるにつれて視聴時間は長くなる傾向にありますが、若い世代は高齢者にくらべて1/3の時間しかテレビを見ていません。
というのも休日の10代のテレビ視聴時間は120.5分(約2時間)であり、20代も同じく120.3分(約2時間)となっています。
テレビCMなどの広告がどれくらい表示されたのか?という観点で考えると、1時間番組でいうと15回くらいCMが流れると仮定すると、おおよそ1日に30回くらいテレビCMを見ているということになります。
今までテレビ広告は大手企業のメイン媒体を飾ってきましたが、これだけ見ている人が少なくなると、テレビCMのスポンサーである大手企業としても、広告出稿が減っていくのも無理はありません。
日本もアメリカもテレビ広告費は減少
テレビCMを中心としたテレビ広告の市場は、日本だけでなくアメリカでも同じことが起こっています。
2018年の調査によると、両国のテレビ広告費は以下のようになっています。
- 日本のテレビ広告費:1兆9,123億円
- アメリカのテレビ広告費:7兆8,242億円(724億ドル)
この費用が昨年、テレビ広告費にかけられています。それでは日本、そしてアメリカのテレビ広告費について詳しく説明します。
日本のテレビ広告市場は1兆9,123億円
日本の2018年のテレビ広告費は地上波と衛生メディアをあわせて、1兆9,123億円でした。
テレビ広告に最も広告費がかけられたのは2016年の1兆9,657億円で、毎年減少しています。
とはいえすべての媒体での総広告費は年々上がっており、2018年には6兆5,300億円となっています。
その理由はご存知のとおり「インターネット広告費」の増加によるもので、2016年には1兆3,100億円だったのにも関わらず、2018年は1兆7,589億円と、約134%増加しています。
これにより2018年の日本のテレビ広告費のシェアは、全体の広告費の29.2%となっています。
アメリカのテレビ広告費は7兆8,242億円
出典:emarketer.com
2018年のアメリカのテレビ広告費は、724億ドル(日本円で7兆8,242億円)でした。
日本では2016年がテレビ広告費の金額がピークでそこから減少傾向にありましたが、アメリカでは2016年に712億ドルから2017年に702億ドルに落ち込んだものの、2018年には724億ドルに上がっています。
2019年以降は予測のデータですが、2020年に行われる東京オリンピックでテレビ広告が少し上がるとされ、それ以降は毎年右肩下がりで減少していくと予測されています。
出典:emarketer.com
2018年のアメリカのテレビ広告費は、724億ドル(日本円で7兆8,242億円)でした。
日本では2016年がテレビ広告費の金額がピークで、そこから減少傾向にありましたが、アメリカでは2016年に712億ドルから2017年に702億ドルに落ち込んだものの、2018年のテレビ広告費は724億ドルに上がっています。
それから2020年に行われる東京オリンピックでテレビ広告が少し上がるとされていますが、それ以降は毎年右肩下がりで減少していくと予測されています。
2020年オリンピックを最後にテレビ広告は減少
2020年の東京オリンピックでは、日本はもちろん世界的にテレビ広告費は上がると思われます。
ですがそれ以降は、テレビの視聴時間もどんどん減っていき、テレビCMをはじめとしたテレビ広告は、どんどん少なくなっていくでしょう。
とはいえ日本や世界の広告市場は伸びていて、インターネットを活用したデジタル広告の市場は、まだまだ拡大していく見込みです。
それはテレビにインターネットを通じてコンテンツを届けている、スマートテレビ(コネクテッドテレビ)です。
スマートテレビ(コネクテッドテレビ)やSNSに推移中
今までテレビCMを中心とした出稿クライアントは、スマートテレビ(別名:コネクテッドテレビ)への動画広告にシフトしています。
スマートテレビとは、テレビとインターネットを組み合わせたもので、以下のようなサービスが有名です。
- Amazon Prime Video(アマゾンプライムビデオ)
- Netflix(ネットフリックス)
- Hulu(フールー)
アメリカではスマートテレビの視聴者数が1億8,000万人を超え、2020年には2億410万人に達すると予測され、日本国内でも視聴者数がどんどん伸びています。
2019年のスマートテレビ向けの広告配信市場は69.4億ドル(日本円で約7646億円)となり、5年後の2023年には倍以上の140.1億ドル、日本円で1兆5277億円という巨大な広告市場に成長する見込みです。
詳しくは「スマートテレビへの動画広告配信が増加中!すでに7646億円市場に」で解説しています。
デジタル広告のなかでも盛り上がる動画広告
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「若者のテレビ離れ」という言葉がささやかれている今、テレビCMを中心としたテレビ広告の広告費も減少しています。それは日本だけでなく海外でも同じ現象が起こっています。
日本では2016年がテレビ広告費のピークで、それから減少傾向であり、アメリカでは2018年がピークとなっていて、これから2022年までにテレビ広告が媒体別の広告シェアの1/4を下回るという見込みです。
日本をはじめ海外でも、2020年の東京オリンピックを境に、テレビ広告費も減少していく傾向です。
そんな企業はスマートテレビ(別名:コネクテッドテレビ)への動画広告にシフトしています。スマートテレビの動画広告は、アメリカでは69.4億ドル(日本円で約7646億円)となっており、国内でも広告が増加しています。
関連記事:動画広告はまずSNSに配信しよう!2年後には広告市場も44%増加
とはいえ動画広告は今後伸びていくので、テレビからデジタルにシフトする準備を、そろそろ整えていきましょう。