ECをはじめとした通販事業を行うにあたり、どれくらいの受注体制、物流体制を整えるべきなのでしょうか?
お客様への対応をしっかり行うためにも、オペレーターをはじめとした受注体制、物流体制を整えていかないと企業としてのサービス向上を実現できません。
この記事では、日本流通産業新聞で発表された「第27回 通販フルフィルメント調査」をもとに、ディノスやベルーナ、千趣会をはじめとした大手通販会社8社の受注体制から物流体制までを詳しくご紹介します。
大手通販会社8社の受注体制~物流体制を徹底比較
通販事業の販売チャネルとしては、近年ECでの注文が増えてきてはいますが、昔は電話やFAX、ハガキ、カタログからの注文が大半を占めていました。
ECであればWeb上で注文が完結するのでオペレーターなどの人員体制はそこまで必要ありませんが、とはいえ電話やFAX、カタログ注文などは顧客対応が必要になるため、大手の通販会社は徹底した受注体制から物流体制を整えています。
今回は大手通販会社の以下8社の受注体制から物流体制までをご紹介していきたいと思います。
- 千趣会
- ベルーナ
- ジュピターショップチャンネル
- ファンケル
- セシール
- ディノス
- カタログハウス
- 高島屋
大手通販会社の通販売上高は?
徹底した受注体制から物流体制を整えているだけあり、大手通販会社の売上高は、国内トップクラスにランクインしています。
- 千趣会:891億円
- ベルーナ:1,080億円
- ジュピターショップチャンネル:1,630億円
- ファンケル:927億円
- ディノス・セシール:1,138億円
- カタログハウス:265億円
- 高島屋:228億円
この大手通販会社の中でもジュピターショップチャンネルの売上高は1,630億円となり、国内の通販売上ランキングでも、5位にランクインしています。続いてディノス・セシール(2事業合同)は1,138億円にのぼり、国内ランキングでは8位にランクインしています。
国内の売上ランキングを100位まで知りたい方は「【2019年最新】大手ECサイト・ネット通販売上高ランキングTOP100を発表!」をご覧ください。
そんな大きな売上の通販会社は、毎日の膨大な注文をさばくために徹底した受注体制〜物流体制を整えています。そんな体制面のところを詳しくご紹介していきます。
参考:日本流通産業新聞 2019年4月18日・25日合併号 第27回 通販フルフィルメント調査 より 数値(−)は不明
受注センターの数は平均3.6ヶ所、オペレーターは平均588人
会社名 | 受注センターの数(所在地) | オペレーターの人数 | 受注時間 |
千趣会 | 5ヶ所(千葉、大阪、福岡など) | 400人 | 9時~21時 |
ベルーナ | 7ヶ所(埼玉など) | 800人 | 9時~21時 |
ジュピターショップチャンネル | 2ヶ所(東京、大阪) | 800人 | 24時間対応 |
ファンケル | 3ヶ所(東京、神奈川、徳島) | 400人 | 9時~21時 |
セシール | 3ヶ所(北海道、香川、沖縄) | 500人 | 9時~21時 |
ディノス | 3ヶ所(東京、北海道、沖縄) | 800人 | 24時間対応 |
カタログハウス | 4ヶ所(東京など) | 150人 | 平日 9時~21時 土日はシステム対応 |
高島屋 | 2ヶ所(北海道、愛媛) | 270人 | 9時~21時 |
大手通販会社8社の受注センターの数やオペレーターの数などの受注体制についてご紹介します。
8社を平均すると受注センターの数は3.7ヶ所で、オペレーターの数は平均588人という受注体制です。
なかでも最も受注センターの数が多いのが、8社内では売上3位のベルーナで7ヶ所、オペレーターの数は合計800人という体制を整えています。
理由は後ほど詳しく説明しますが、ベルーナの基本はカタログ通販で、売上の約50%が電話注文、はがき注文が20%、ECでの販売が25%と、どうしても人的なオペレーションが必要だからです。ディノスやカタログハウスもEC以外の注文が多く、人的オペレーションが必要なため、オペレーターの受注体制に関しては力を入れています。
注文方法はEC(インターネット)が増加中!
会社名 | 電話 | FAX | ハガキ | EC |
千趣会 | 14% | 2% | 4% | 80% |
ベルーナ | 50% | 5% | 20% | 25% |
ジュピターショップチャンネル | – | – | – | – |
ファンケル | 25% | 3% | 8% | 64% |
セシール | 26% | 10% | 15% | 49% |
ディノス | 42% | 1% | 1% | 56% |
カタログハウス | 50% | 3% | 22% | 25% |
高島屋 | 40% | 5% | 15% | 40% |
一昔前の通販会社は、メディアとしてはテレビショッピングやカタログであり、注文方法は電話やハガキでの注文が多かった時代ですが、みなさんの予想どおりEC化率が非常に伸びています。
数値を公表していないジュピターショップチャンネル以外の7社のEC化率の平均は48.4%となり、約半分の注文がインターネットを使ったECサイトでの注文になっています。
ちなみに通販会社だけでなく、事業者単位でEC化率は、インテリア・雑貨業界で20%、アパレル業界で12%、化粧品業界で5%といわれています。
ECにおけるモバイル受注の割合
- 千趣会:EC化率80%、うち60%がモバイル注文
- ベルーナ:EC化率25%、うち65%がモバイル注文
- ジュピターショップチャンネル:EC化率非公開
- ファンケル:EC化率64%、うち65%がモバイル注文
- セシール:EC化率49%、うち60%がモバイル注文
- ディノス:EC化率56%、うち65%がモバイル注文
- カタログハウス:EC化率25%、うち24%がモバイル注文
- 高島屋:EC化率40%、うち34.5%がモバイル注文
通販会社上記8社の約半分がECでの注文ということがわかりましたが、その中でもモバイル(スマートフォン)での注文は約6割にものぼります。
大手通販会社の物流について
これだけの売上がある大手通販会社ですから、上記で説明した受注体制については徹底していますが、もちろん受注をしたあとの商品配送、つまり物流体制においても万全の体制です。
物流センターも日本各地に所在しており、受注した商品を保管・配送する物流センターを構え、商品がすぐお客様の手に届くような体制を整えています。
それでは大手通販会社の物流体制について、ご紹介します。
物流センターは平均約2.1拠点、面積は約78,000平方メートル
会社名 | 物流センター所在地 | 総床面積 | |
千趣会 | 栃木、岐阜、兵庫 他 合計4ヶ所 | 150,000平方m | |
ベルーナ | 埼玉、栃木 合計2ヶ所 | 160,000平方m | |
ジュピターショップチャンネル | 千葉、群馬 合計2ヶ所 | 86,000平方m | |
ファンケル | 千葉、神奈川 合計2ヶ所 | 16,000平方m | |
セシール | 香川 など 合計3ヶ所 | 135,000平方m | |
ディノス | 東京 合計1ヶ所 | 50,000平方m | |
カタログハウス | 東京、他 合計2ヶ所 | 15,000平方m | |
高島屋 | 東京 合計1ヶ所 | 12,000平方m |
大手通販会社8社の物流センターは平均2.1拠点で、面積は約78,000平方メートルでした。
物流センターの拠点・面積ともに多いのが、ベルーナ、千趣会、セシールで、関東近郊に大きな物流センターを構え、商品の保管・配送を安全にスムーズに行えるような体制です。
では物流センターの人員体制や1日の平均出荷個数をご紹介します。
人員体制は平均536人、1日の平均出荷数は54,500個
会社名 | 人員 | 平均出荷数/日 | 配送会社 |
千趣会 | 1,000人 | 35,000個 | 佐川急便、ヤマト運輸 |
ベルーナ | 1,100人 | 70,000個 | 佐川急便、ヤマト運輸、日本郵便、プラスカーゴ |
ジュピターショップチャンネル | 非公開 | – | – |
ファンケル | 非公開 | 148,000個 | 佐川急便、ヤマト運輸、日本郵便、プラスカーゴ |
セシール | 600人 | 30,000個 | 佐川急便、日本郵便 |
ディノス | 300人 | 20,000個 | 佐川急便、日本郵便、SGムービング、ヤマトホームコンビニエンス |
カタログハウス | 120人 | 19,000個 | ヤマト運輸、日本郵便 |
高島屋 | 100人 | 5,000個 | ヤマト運輸、ヤマトホームコンビニエンス |
大手通販会社の物流センターの人員体制は平均536人で、1日の平均出荷数は54,500個でした。
人員体制としては千趣会やベルーナが1,000名を超える物流センターの人員体制で望んでおり、平均の出荷数はファンケルがダントツの148,000個という結果でした。
特にファンケルは化粧品がメインであり定期購入のお客様が多いため、小口ではありますが配送個数としてはいちばん多いということも納得ですね。
ファンケルがいちばん限界ギリギリ
ちなみにMAXで頑張ったときの1日の最大出荷能力としては、各社以下を公言しています。
- 千趣会:1日平均35,000個、最大出荷能力65,000個
- ベルーナ:1日平均70,000個、最大出荷能力180,000個
- ジュピターショップチャンネル:1日平均非公開、最大出荷能力180,000個
- ファンケル:1日平均148,000個、最大出荷能力175,000個
- セシール:1日平均30,000個、最大出荷能力100,000個
- ディノス:1日平均20,000個、最大出荷能力30,000個
- カタログハウス:1日平均19,000個、最大出荷能力38,000個
- 高島屋:1日平均5,000個、最大出荷能力80,000個
この調査によると、ファンケルが1日平均の出荷数が最も多いですが、最大出荷能力の80%のパワーを使ってるということがわかります。
大手通販会社の体制まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
大手通販会社は売上高も非常に大きいですが、それを支えているのはお客様からの注文を受けるオペレーターをはじめとした受注体制や、商品を保管・発送する物流体制を整えていて、企業としてのサービス向上を実現しています。
もしEC事業をはじめ通販事業を行っている場合は、もちろん売ることも大事ですが、受注体制や物流体制を万全なものとして、お客様によりよいサービスを提供していきましょう。
ご覧いただきありがとうございます。次回は中国の物流体制を調べてみたいと思いますので、まずは「【2019年最新】中国ネット通販、EC売上ランキングTOP10位を発表!」をご覧ください。