近年、過去最大の業績不振となってしまった「ホテル業界」ですが、多くのホテル企業に復活の兆しが見えています。
ホテルといえば旅行で宿泊するリゾートホテル、都市部のシティホテル、ビジネスホテルのカテゴリーで、オリンピックの追い風を受けて市場が拡大していましたが、コロナの影響で一昨年の宿泊者数は-50%となり、多くの企業が苦戦を強いられました。
ですが昨年以降は各社の売上収益も復活の兆しがあり、多くのホテル企業が大きく前年比を上回っています。
この記事では、そんなホテル業界各社の売上高TOP30を、最新の決算をもとにランキングにしています。
ぜひマーケティング活動や就職・転職活動の情報としてご活用いただけると嬉しいです。
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かなり苦戦したホテル業界、売上増加の兆し
コロナの影響でもっとも売上に影響があったのが、ご想像のとおり「外食チェーン・飲食業界」と「ホテル・旅行業界」です。
東京オリンピックの決定にあたり、訪日外国人や国内旅行者増の追い風をうけ、2019年が市場のピークでしたが2020年のコロナの影響で、国内の宿泊者数は約-50%となり大打撃をうけてしまいました。
ホテルは大まかに分けると4つの系統にわかれており、
- 鉄道系の企業
- 不動産系の企業
- リゾート系の企業
- ホテル専業の企業
ホテルを展開する企業は上記のような系統に分かれています。
とはいえ多くのホテル業界に旅行者が増え、前年を大きく伸ばしている企業が増えてきているので、今後のホテル業界の盛り上がりには注目です。
ホテル業界の集客チャネル「OTA」が主流
売上が前年を上回る企業がほとんどのなか、前年を割ってしまっている企業も数社あります。
ホテルの売上を向上させるためには、当たり前ですがたくさんのお客様に高いプランで宿泊してもらうことです。
ただホテル業界の集客チャネルとしては「OTA」が主流になっています。
OTAとはOnline Travel Agent(オンライン・トラベル・エージェント)の略で、オンライン上の旅行代理店、つまり旅行サイトです。
有名な旅行サイトだと、
このようなOTAが存在します。
さらには予約もできて様々なサイトで最も安いサイトを比較できる、世界中のホテル予約サイトを一括比較する「ホテルズコンバインド」なども存在します。
ホテル業界はこのようなOTAに頼ってしまっていたので、サイト内での露出が売上に直結するという悪循環が生まれています。
売上、利益を伸ばしているホテルは、このようなOTAも上手に活用しつつ、CRMやリピートを自社で行い、お客様を集客する独自の方法を確立しています。
それでは本題の「ホテル業界の売上高ランキングTOP30」と各社のトピックスをご覧ください。
ホテル業界 売上ランキング1位~10位
順位 | 企業名 | 売上高 | 前年比 |
1 | 西武グループ(ホテル・レジャー事業) | 1,331億円 | +58.5% |
2 | ルートインジャパン | 936億円 | – |
3 | アパグループ | 916億円 | +1.0% |
4 | リゾートトラスト(ホテル事業) | 806億円 | -25.2% |
5 | 共立メンテナンス(ドーミーイン・リゾート事業) | 626億円 | +35.7% |
6 | オリエンタルランド(ホテル事業) | 474億円 | +65.7% |
7 | 三井不動産(施設営業事業) | 468億円 | +43.1% |
8 | 東急(ホテル・リゾート事業) | 435億円 | +15.0% |
9 | 東横イン | 429億円 | +13.2% |
10 | ホテルオークラ | 381億円 | +20.9% |
ホテル業界の売上ランキングTOP10のご紹介です。
各社の決算資料をもとに算出しておりますが、新収益認識基準の適応により収益が減っている企業もいくつかあります。
「収益認識に関する会計基準(新収益認識基準)」とは
「売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る」
引用:「企業会計原則」第二、三
簡単にいうと、売上をどのタイミング計上するか?というルールで、2021年4月から始まる会計年度より、上場企業や大会社では強制適用になります。
1位 西武グループ(ホテル・レジャー事業):1,331億円
ホテル業界の売上1位は、売上高1,331億円の西武グループで、前年比+58.5%と売上を伸ばしています。
西武グループといえば多くの事業を展開しており、売上の高い事業でいうと、
- ホテル・レジャー事業:1,331億円
- 都市交通・沿線事業:1,313億円
- 建設事業:797億円
- 不動産事業:591億円
- その他:327億円
西武といえば鉄道事業かと思いきや、なんと「ホテル・レジャー事業」が売上シェア1位です。
西武グループのホテルブランドといえば、ザ・プリンスギャラリーやグランドプリンスホテルをはじめとしたシティホテルや、箱根園コテージや川奈ホテルなどのリゾートホテルも展開しています。
ホテル業態のセグメント別の売上高でいうと、
- シティホテル事業:507億円
- リゾートホテル事業:255億円
- 海外ホテル事業:233億円
- スポーツ事業(ゴルフ場やスキー場):169億円
合計1,331億円となっており、営業利益は28億円となっています。
2位 ルートインジャパン:936億円
ホテル業界の売上ランキング2位にランクインしているのは、ビジネスホテルを展開する企業である、ルートインジャパンです。
ビジネスホテルチェーンとしては以下の3社を比較されることが多く、
- 2位 ルートインジャパン:936億円
- 3位 アパグループ:916億円
- 9位 東横イン:429億円
ビジネスホテルチェーンは年間2桁成長を見せており、シティホテルやリゾートホテルよりも市場拡大が堅調なのが特徴です。
6位 オリエンタルランド(ホテル事業):474億円
6位にランクインしているのは、ディズニーランドでおなじみのオリエンタルランドです。
ちなみにオリエンタルランドの売上は、ディズニーランドのテーマパーク事業を合わせると2,757億円で、前年比+61.6%と大きく増加しています。
- オリエンタルランドの売上高:2,757億円(前年比+61.6%)
- テーマパーク事業:2,185億円(前年比+62.8%)
- ホテル事業:474億円(前年比+65.7%)
- ディズニーホテル:437億円(前年比:71.0)
- その他ホテル:37億円(前年比:21.2%)
- その他事業:97億円(前年比+27.0%)
本題のホテル事業も474億円(前年比+65.7%)となり、苦戦した前年を大きく上回っています。
7位 三井不動産(施設営業事業):468億円
TOP10の最後にご紹介するのは三井不動産の施設営業事業で、売上高は468億円で、前年比は+43.1%です。
三井不動産は不動産業界でも売上No.1の企業ですが、ホテル・リゾートの展開も行っています。
ホテル・リゾートを展開する施設営業事業は5つのセグメントに分かれており、
- 住宅(パークホームズ、三井ホーム、三井のリハウス)
- オフィス(ワークスタイリングなど)
- 商業施設(ららぽーとやアウトレット)
- 物流施設(三井不動産ロジスティックパーク)
- ホテル・リゾート(三井ガーデンホテル、ハレクラニホテルなど)
ホテル・リゾートとしては、主力の三井ガーデンホテルを中心に、51施設・約13,000室を展開しています。
2023年以降は新規プロジェクトとして、
- ブルガリホテル東京:100室
- 京都三条ホテル計画:190室
- 敦化北路ホテル(台湾):180室
- ウォルドーフ・アストリア東京日本橋:200室
- 箱根町計画:未定
上記のような+800室の新プロジェクトが進んでいる状況です。
ホテル業界 売上ランキング11位~20位
順位 | 企業名 | 売上高 | 前年比 |
11 | 京王電鉄(レジャー・サービス業) | 329億円 | +45.5% |
12 | ニュー・オータニ | 324億円 | +7.6% |
13 | 帝国ホテル | 286億円 | +30.0% |
14 | 藤田観光 | 284億円 | +6.7% |
15 | 阪急阪神ホールディングス(ホテル事業) | 256億円 | +34.0% |
16 | グリーンズ | 254億円 | +61.9% |
17 | 近鉄グループ(ホテル事業) | 202億円 | -2.3% |
18 | 相鉄ホールディングス(ホテル事業) | 191億円 | +45.8% |
19 | パレスホテル | 172億円 | -2.3% |
20 | ロイヤルホールディングス(ホテル事業) | 167億円 | +20.1% |
続いてホテル業界売上ランキング11位~20位の紹介です。
各ホテル企業の売上高レンジは329億円~167億円となっています。以下各社のトピックスを紹介します。
14位 藤田観光:284億円
14位にランクインしているのが、WHG事業を主力としている「藤田観光」です。
売上高は284億円、前年比+6.7%となっています。WGH事業とは、
- ワシントンホテル(ビジネス主体)
- ホテルグレイスリー(レジャー主体)
両ホテルの展開をWHG事業と位置づけて、藤田観光の主力事業となっています。
とはいっても売上セグメントとしては、
- WHG事業:104億円
- ラグジュアリー&バンケット事業:124億円
- リゾート事業:37億円
- その他:18億円
とWHG事業はセグメントシェアは2位になっています。
16位 グリーンズ:254億円
16位にランクインしているのは「グリーンズ」で、売上高254億円、前年比+61.9%と大きく回復しています。
グリーンズは、主に2つのホテル事業展開を行っており、40カ国7,000軒以上のホテル展開をする「チョイスホテル事業」と、東海~北陸に展開するシティホテル「グリーンズホテルズ事業」の2つの柱があります。
- チョイスホテル事業:200億円(前年比+71.1%)
- グリーンズホテル事業:51億円(+36.5%)
- その他事業:1.6億円
という売上セグメントになっています。
20位 ロイヤルホールディングス(ホテル事業):167億円
20位にランクインしているのが、ロイヤルホストなど外食チェーン事業も展開している「ロイヤルホールディングス」のホテル事業です。
全体の売上高は843億円ですが、そのうちホテル事業の売上高は167億円、前年比は+19.7%となっています。
ホテル事業としては「リッチモンドホテル」のみを展開しており、全国に42店舗展開しているホテルチェーンになっています。
ホテル業界 売上ランキング21位~30位
順位 | 企業名 | 売上高 | 前年比 |
21 | ロイヤルホテル | 164億円 | +5.1% |
22 | アメイズ | 118億円 | +4.5% |
23 | ワシントンホテル | 85億円 | – |
24 | ABホテル | 63億円 | +34.0% |
25 | エイチ・アイ・エス(ホテル事業) | 47億円 | -40.6% |
26 | 京都ホテル | 42億円 | +10.5% |
27 | アゴーラ・ホスピタリティー・グループ | 33億円 | +1.2% |
28 | ホテルニューグランド | 31億円 | +4.4% |
29 | 鴨川グランドホテル | 23億円 | -36.0% |
30 | 熊本ホテルキャッスル | 12億円 | +9.0% |
最後にホテル業界の売上ランキングTOP21位~30位のご紹介です。
売上高は164億円~12億円となっています。それでは各社のトピックスを紹介します。
21位 ロイヤルホテル:164億円
21位にランクインしているのは「リーガロイヤルホテル」ブランドを主力しているロイヤルホテルで、売上高は164億円となり、前年比は+5.1%となっています。
リーガロイヤルホテルは国内11店舗を展開、「リーガロイヤル ラグーナ・グアム・リゾート」として、初の海外にも店舗展開をしています。
部門別の売上のセグメントとしては、
- 客室部門:42億円
- 宴会部門:42億円
- 食堂部門:35億円
- その他:43億円
4つの部門で売上構成比の約25%づつを占めているセグメントとなっています。
25位 HIS(エイチ・アイ・エス)※ホテル事業:47億円
25位にランクインしているのは、みなさんご存知の旅行代理店「HIS」が展開しているホテル事業です。
HIS連結の売上高は8,085億円とかなり大きいのですが、ホテル事業では47億円となっています。
事業別の売上セグメントとしては、
- 旅行事業(代理店など):430億円
- テーマパーク事業:151億円
- ホテル事業:47億円
- 九州産交グループ:163億円
- エネルギー事業:373億円
となっており、HISが展開しているホテル事業とは、
- 変なホテル
- ウォーターマークホテル
- グアムリーフホテル
- グリーンワールド
- その他(久米アイランド、満天ノ 辻のやなど)
を展開しています。
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